第110話 美味しいご飯は人の心を豊かにする。

【もう遅いし、さっさと帰っちゃうわね】


 時間はもう21時を過ぎていた。


『今日はありがとうな。めちゃくちゃ美味しかったよ』

【また食べたかったら、次も頑張ることね】


 そう言うと、手を振って部屋から出ていった。アスカを見送ると、オレはベッドに横になった。


『うっ……流石に食べすぎた……』


 そうだ、忘れないうちにアスカにありがとうって送っておこう。


『今日はありがとう。あんなに美味しいご飯を食べたのは久しぶりだったよ。また食べさせてもらえるように頑張らさせていただきます!』


 よし、これでいいだろう。”美味しいご飯は人の心を豊かにする”ってレンがよく言ってたけど、今なら完全に理解することができそうだ。なんて思っている間にアスカから返信がきた。


【あんなに気持ちよく食べてくれるなんて、作ってあげた甲斐かいがあったわ。また女神様のご飯が食べられるような活躍を期待しているわ】


『女神様って……自分で言うなっつーの。まぁ、最初に言ったのは俺だけど……』


 独り言を言うと、スマートフォンをベッドへ放り、風呂に入った。風呂から上がると、テレビを点けた。画面に映っていたのは、久しぶりに見る文字だった。


「謎の爆発事故、再び発生!」


 画面では、ロシアのモスクワで発生した爆発事故を報じていた。国のお偉いさんも激怒している様子だった。日付の確認をしたが、こっちには特に変化は無い。


『がんばれ……世界中の仲間たち……』


 仲間へのエールとケガ人の無事を祈りながら、俺は眠った。

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