第5話 終わりが見えたはずなのに。

 8月137日……


 俺は目が覚めると、まずはSONICソニックを起動した。ショーマに昨日は途中で帰ってすまない、と謝っておかないとな。ふと、チャットのログが目に入る。


「8月150日までだよ」


 昨日は読めなかったショーマからのメッセージが、今はハッキリと表示されていた。見えなかったのは記憶違いか、本当に俺の頭がイカれてるのか。原因はよくわからないが、8月はやはり『8月150日まで』ということがわかった。安心とともに、不安も押し寄せた。


 8月が終わったらどうなる?

 9月が始まる?

 9月も150日とかあるのか?


 不安に駆られたが、解決案がすぐ出た。カレンダーだ。カレンダーを見たら全部解決するではないのか。スマートフォンのカレンダーを見る。8月は150日まで書いてある。最初から見ればよかったんだ、と自分のアホっぷりに呆れて笑った。

 9月は……と画面をタップ、フリック、長押し、端末を振る等々、あらゆるアクションを試みたが、カレンダーが切り替わることはなかった。

 9月はおろか、8月よりも前のカレンダーも見ることはできなかった。


 まるで、8月以外存在しないかのように。


 スマートフォンから部屋のカレンダーに視線を移した。やけに細かい、大きいカレンダーが違和感なく存在していた。

 8月は150日まで書かれている。やはり7月以前、9月以降の記載は無い。1年間使えるカレンダーも8月以外は何も書かれていなかった。


 再び、不安が俺を襲った。


 急いで外に出る準備をし、足早に家を出た。

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