第294話 現在日時。

『そうだ、時間はどうなってる?』

【デゼスプワールを倒したら、そのまま元の時間へと送り返されるのかと思ってましたが、違うんですね】

【まぁ、お別れの時間ができていいんじゃないっスかね?】

呑気のんきなことを言ってるんじゃない、ハルヒ。……と、言いたいとこですが、今日は許しましょう】

【へへへっ】


 エンジが時間を確認する。……が、何かスッキリとしない表情だ。


【どうした、エンジ?】


 ジュウザブロウさんもエンジが見ている画面を覗く。ジュウザブロウさんもエンジと同様にスッキリとしない表情をしている。


【なんか……日付が変なんですよ……。こんなときに壊れたのかなぁ……】


 端末を振りながらエンジが言った。俺もポケットからスマートフォンを取り出した。


『あれ、俺のもなんか変だぞ』


 画面にはこう表示されていた。


 8月  日


 日付が正しく表示されていなかった。他のみんなも同じようだ。


『どうなっちまったんだ……』


 そのとき、俺はデゼスプワールの言葉を思い出した。


〈……私を倒したとしても、”時”は戻らない……。絶望と共に……終焉を迎えるだけだ……〉


 あの言葉の意味を俺たちは知ることになった。

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