第273話 危機一髪。

『うぉぉぉぉおお!』


 残り少ない体力でラヴに突っ込む。しかし、ラヴには通用しない。突き飛ばされ、俺は再び地面に倒れた。


『く……っ!』


 尻もちをついたような状態でラヴを見つめると、ラヴは俺への攻撃を中止しているようだった。ラヴは何かを振り払うかのように体を動かしていた。


【うわぁ!】


 誰かが地面に転がった。カイユウだ。カイユウはジュウザブロウさんに抱えられながらラヴから距離を取った。俺はその隙に立ち上がって、エンジのところまで戻った。


【ヒカル、大丈夫か……?】

『まぁ、なんとかね……』

【私が簡単に治療しちゃいますね】

『頼む』


 オトハちゃんの治療を受けながら、状況の確認をする。


『さっきのは……?』

【あれは、ラヴがヒカルくんに攻撃している間に背後にカイユウくんが迫っていたの。ヒカルくんに注意を向けていたラヴは、カイユウくんの存在に気づくのが遅れたみたい。カイユウくんのナイフはラヴの背中に刺さったわ。それをラヴが振り払っていたってワケ】

『なるほど……』

【ラヴへのダメージはでかそうだ。一気に決められるかもしれねぇ】

【ヒカルさん、オッケーです!】

『ありがとう』

【私も行けます!】

【よし、やってみるか……!】


 グレンは手を動かし、向こうのグループに指示を出す。どうやら伝わったようだ。


【ゴー!! 行けェー!!】


 俺たちは一斉に走り出した。

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