第272話 決死の進行妨害。
ラヴは4本の腕を広げ、俺たちの元へと走ってくる。
【エンジとカイユウの安全を最優先にしろ!】
エンジとカイユウを2つのグループに分けて散った。1発で2人ともダウンさせられたらこっちの勝てる見込みが無くなる。ラヴは2手に分かれたうち、エンジのいる方を狙ってきた。
『チッ! やっぱり先に狙うのはこっちか……!』
遠距離からの攻撃が可能なエンジは、ラヴにとっては厄介な存在だろう。そんなことを認識しているのか、本能のままに動いているのかはわからないが、とにかく対処するしかない。
『エンジを頼む!』
アスカとグレンにエンジを託し、俺は立ち向かった。シャルによる中距離からの攻撃で、できるだけラヴの進行速度を落とす。それが俺にできることだ。それでもラヴは前進してくる。シャルを分断し、
『どうだ……!?』
ラヴの動きは一時的に止まった。爆破による煙の中から腕が出てきた。間一髪、転がりながらなんとか回避した。
『やっぱダメだよな……』
回避した俺をラヴの腕が追撃してくる。俺はその追撃を避けきれず、宙を舞った。
【ヒカルくん!】
遠くでアスカの声が聞こえる。宙を舞う俺の上空にラヴの腕が見えた。上空から振り下ろされた腕は、俺の腹部を捉えた。俺は地面に叩きつけられた。
『ぐぁっ……ぁ……あ……』
痛い……。
息がし辛い……。
立ち上がらなくては……。
必死に両腕を動かし、体を持ち上げる。後ろにいるラヴを肩越しに確認する。腕の1本をイツキさんの大剣のように変形させている。
『こりゃヤバいな……』
目線を自分の足元へ戻す。なんとか足を動かし、体を起き上がらせた。背後に気配を感じた。振り返ると、ラヴが立っていた。
俺は”死”を近くに感じていた。
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