第271話 猛攻。

【オラァッ!】


 グレンの斬撃がラヴを襲う。当然だが、ダメージはない。ラヴはグレンの剣を弾くために左腕を動かす。その隙にジュウザブロウさんが右腕を抑え込む。俺の後ろでは、エンジが銃を構えていた。アスカの射撃がラヴの足元に当たる。土煙を上げ、視界を奪った。エンジはタイミングを見計らって3発撃ち出した。ラヴは俺たちの連携攻撃のせいで回避行動が遅れていた。ラヴの右肩と右足に直撃した。


【よしっ!】


 畳み掛けるように俺たちはラヴを追撃した。ラヴもただやられているだけではない。ジュウザブロウさんを投げ飛ばし、グレンの腹部に拳を叩き込む。それでも俺たちはひるまない。今度はジンと俺が前に出る。俺の後ろにはカイユウが隠れている。ラヴの注意を引きながら戦う。ラヴが左腕を思い切り振った瞬間、隙ができた。カイユウは飛び出し、ナイフを振り回す。その攻撃は失敗し、カイユウは地面を転がった。


【っつ……】

『カイユウ!』


 ラヴはカイユウに狙いを定め、左腕を振り上げた。そこを狙って、エンジの銃撃がラヴに突き刺さった。左腕と脇腹に着弾し、ラヴは再び距離を取った。カイユウを起こし、後ろへ下げる。ラヴの低いうなり声が響いた。


〈ラヴ、次だ〉


 デゼスプワールが静かに言い放つ。ラヴは背中から2本の腕を生やした。


【マジかよ……!?】


 新たに生えた2本の腕が、元々あった2本の腕を切り落とした。そしてさらに2本の腕を生やした。


【傷ついた腕の回復を待つより、切り離して新たに腕を生やしたほうが早いってことかよ】

【あれは……やっぱりフトゥーロの……】

『間違いないな……』


 4本の腕となったラヴは、再び行動を開始した。

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