第270話 勇気。

【……ちょっと待ってください!】

【どうしたんやカイユウ】

【1つ、訂正があります】

【何か間違いがあったかしら?】


 カイユウは少し考えてからポケットをさぐった。布に包まれた、小さな棒状のモノが出てきた。それを開くと、メスのようなナイフがあった。


『それって……』

【俺も……武器……あります。だいぶ前ですが、ミチヤさんに作っておいてもらっていたんです】


 カイユウが自信無さげに名乗り出た。それを見たジュウザブロウさんがカイユウの肩を力強く抱いた。


【カイユウ、よく名乗り出てくれた。正直、怖いよな?】

【……は、はい】


 ジュウザブロウさんは笑いながら答えた。


【はっはっは! 怖くて当然だ。安心しろ。全員が全力で2人を守る】


 戦闘組の全員が頷いていた。


【すみません、お願いします!】


 カイユウが頭を下げる。


【さて、あちらさんも準備が整ったようやで……】


 ラヴの傷は癒え、今にも動き出しそうだった。


【エンジくんとカイユウくんを中心にして陣形を組みましょう。ワタシたち戦闘組が、なんとかラヴの動きを止めるわ】

『2人は無理に”コア”を狙おうとしなくてもいいからな』

【あぁ。どこでもいいから、少しでもダメージを与えることができればいい。その少しのダメージが戦況を変えていくんだ】

【さぁ、みんな。行くぞ……ッ!】


 ジュウザブロウさんの掛け声と共に、俺たちは動き出した。

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