第17話 資格所有者。

【そう。〈終焉しゅうえん執行者しっこうしゃ〉。正直な話、ワタシたちも正確に〈終焉の執行者〉が一体何なのかは理解していないわ。とにかく、悪者だと認識しているの】

『もし、その〈終焉の執行者〉ってのに負けたとしたら、俺たちはどうなるんだ?』

【死ぬわ】


 女の子は即答した。そして、俺は絶句した。この答えは想定のうちの1つではあった。しかし、可能性は低いだろうと勝手に決めつけていた。女の子は補足するように続けた。


【死ぬと言っても、ワタシたちだけじゃないわ。この地球自体が破壊され、全人類が死ぬの】

『なに、安心して、って感じで言ってんだよ!? 結局死ぬんじゃないか!』

【だから負けられないの。そのために戦う資格のある仲間を集めているの】

『戦う資格だって……?』

【あなたはその資格を持っている。だからワタシは来た】

『俺はそんなもん持った覚えはない。そもそも、どうやって資格の有無を確かめるんだ?』

【そのための質問よ】

『8月が何日までかなんて、誰でも答えられるだろ!』

【あなたのお友達は答えてくれた? 31日だって、教えてくれたかしら?】

『……ッ!!』


 俺は言葉に詰まった。確かに、ショーマやレンは8月が140日までと言っていた。この異常な日付に、何の疑問も持っていないようだった。


『8月が31日まで、って答えられる人間……。それが資格を持っているかどうかを判断する質問ってことか?』

【えぇ。理解が早くて助かるわ】


 女の子は話を再開した。

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