第125話 状況の整理をする暇なし。

 一瞬何が起きたかわからなかった。


『……っく!』


 先程の矢とは、また別のものだ。体を振ると、粒子集中りゅうししゅうちゅうによって作られた矢は消えた。三度みたび、矢が飛んでくる。


『なんなんだ……!』


 その場から走り去るも、走ってる間にも四方八方から矢が飛んでくる。たまらず近くの建物へと飛び込んだ。そこは喫茶店だった。喫茶店のカウンターの裏に隠れ、息を切らしながら状況の整理をする。


『矢の飛んでくる方向は1ヶ所ではない。しかも、それぞれ離れた場所からだ。考えられるのは2つ。1つはアスカが瞬間移動、もしくはそれに匹敵する超高速移動をして、それぞれの射撃地点を回っている。もう1つは……』


 攻撃方法について考えていると、店内に向けて射撃が始まった。今度は爆発音まで聞こえる。店内にあるテーブルやイスは吹き飛んでボロボロになっていた。射撃が止んだ隙に、俺は店の裏口から逃げ出した。


『さっきの矢とは威力が違いすぎる……。これはからの射撃だろう』


 攻撃方法がわかっても、対策までは考える時間がなかった。再び身を隠し、攻撃の機会をうかがった。

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