第212話 死角無し。

―――A班


 オレたちA班の相手はトラオム。球体の頭にでかい猫の目みてーなのが頭一周分ついている。360度、死角がないってことか。


【あっちは大丈夫ですかね……?】

【まぁ、大丈夫やろ。ヒカル様もおるしな】


 ジンの心配を横目に、いたずらにリオンが笑っている。


【後ろは俺とエンジに任せてください!】

【あいつの”コア”は頭部です!】


 サポート組の2人が叫ぶ。


【ありがとう。それじゃ、さっさと終わらせるか!】

【ジュウザブロウのおっさんも助けにいかなあかんしな!】


 待ち構えるトラオムへと向かった。手には鋭利な爪が生えている。


【2人とも、あの爪に気をつけろ】


 リオンとジンはうなずき、動き出した。


 見ている。


 複数ある目がギョロギョロと動く。それぞれの目が独立しているように、オレたちの動きを追っていた。考えてても仕方ない。行動あるのみ。距離を詰め、剣を振る。トラオムは爪で剣を弾き、オレの背後に移動した。


【はやっ……!!】


 その移動速度は、目で追うのがやっとだった。トラオムが攻撃をしようとしているのが見えた。しかし、それよりも早くジンの斬撃がトラオムを襲った。少し傷を負ったトラオムは、すぐさま距離を取った。


【ジン、ありがとう】

【前は僕が助けられたので、今度は僕が助けますよ】

【ジンくんもなかなか言うねぇ!】


 トラオムはこちらを観察しているようだった。


【あのスピードには気をつけろ。一応、強めに纏陣テンジンを張っておけ】

【はい】

【グレンがリーダーってのも悪くなさそうやな】

【ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとやるぞ】


 ザブロウがいない不安と焦りを隠しながら、戦いが始まった。

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