第168話 年長者。

 ベースの扉を開くと、2人は驚いていた。


【おわっ! ビックリするやん!】

『あっ、すみません……』

【いいよいいよ。みんなを帰してくれてありがとう】

『いえいえ。お2人とも、あの空気の中お疲れ様でした』

【あぁいうときは、俺たち年長者が動かへんとな】

【そうだ。嫌われ者は僕らだけでいい】

【え!? 俺たちって嫌われ者なん!?】

【いいえ、2人を嫌う人なんていないわ。安心して】

【なら安心させてもらうわ】


 笑いながら話をしていた。


『……ジュウザブロウさんはどうするんですか?』

【そうだな……。とりあえず、起きるまではここに寝かせておこうと思ってるよ】


 イツキさんは目をつぶったままのジュウザブロウさんを見ながら言った。


【いつ起きるんやろな。このおっさんは】

『まだおっさんって年齢じゃないですよね……?』

【ええねん。アラサーはもうおっさんや】

【じゃあ、リオンさんもおっさんですね】

【イツキちゃん、鋭いこと言うやん】


 2人の漫才のようなやり取りに思わず吹き出してしまう。


『そしたら、俺たちは帰らせてもらいます。また様子を見に来ますね』

【ジュウザブロウさんをお願いします】

【おう、お疲れ様】

【お2人さんも気ぃつけて帰りや】


 俺たちはベースを出て、家路についた。

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