第297話 轟音が響く中にある希望。
【な、何の音ですか!?】
【もう時間が無いですね】
【どういうことだ、ティア!?】
全員の視線がティアに突き刺さる。
【一通り話しておきましょう。私たちがすべきことは”
【”最果ての地”にある”時の聖殻”って……。なんだよそれ……?】
【この世界の時間は”時の聖殻”に”時の神”が宿っている間、正常に動いているのです。今まではデゼスプワールが”時の聖殻”に宿ることで時間が動いていました。しかし、今はデゼスプワールは倒され、”時の聖殻”はもぬけの殻です】
『見方によっては、アイツのおかげで俺たちは普通に生活できてたってことか』
【そういう考え方もありますね】
再び
【……ティア、この音はなんなんだ?】
【この音は、世界が崩れていく音です】
イツキさんの質問にティアは平然と答えた。その回答に全員が
【なんやって!?】
【どういうことです!? ティアさん!?】
ジンも思わず声を荒げていた。
【”時”の流れは本来は止めてはいけないモノなのです。”時の神”である私たちにも、”時”の流れは完全には止められません。私が止まろうとしても”時”は止まりません。流れ続けようとする”時”と”時”が止まった世界は両方存在することはできません。やがて、世界は
【あの音が鳴ってるってことは、もう世界は限界ってことかよ!】
【今まではそんなことなかったじゃないですか!?】
【それは”時”を止めている時間が短かったからです。デゼスプワールも”神”を名乗っている以上、そういう形での世界の破壊は望んでいなかったのだと思います】
『デゼスプワールが言っていた”私を倒しても、時は戻らない”っていうのは、結局は"時の聖殻"が空っぽになってしまうからってことか……』
【で、オレたちはこのまま指くわえて世界の崩壊を待ってくるしかないのかよ?】
【いえ、”時の聖殻”に私を宿すことができれば止めることができます。そして、みなさんを正常な時間へと戻すことも可能です】
【そうか、そいつは良い知らせだ】
打開策があることに、再び全員が希望を持った。
【そのために、”最果ての地”へと向かう勇者を私が選ばせていただきます】
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