第156話 打開と破壊。

 Demiseデミスが体の向きを変えている隙に、もう一度足元へ近づく。


『さっきのリオンさんの攻撃は集功シュウコウを利用した一撃のようだったな。この予測が正しければ……。これで、どうだッ!!』


 シャルの先端に力を込め、渾身こんしんの突きを放つ。Demiseの足に攻撃が効いた。ボロボロと崩れる足を確認し、さらにもう一度突きを放つ。Demiseの体は揺らいでいた。


『よしっ!』


 俺は手応えを感じていた。このまま攻め続ける。そう思ったその時、Demiseが体勢を低くしているのが見えた。片足をかばうようにした格好で、標的を俺に変更したようだ。

 俺が逃げる間もなく、Demiseの攻撃が開始された。勢いよく振り下ろされた拳は、俺には当たらなかった。しかし、俺の足場を全て崩すような衝撃が襲った。その衝撃によって俺は吹き飛ばされた。そして、近くの建物の壁に叩きつけられた。


『がぁッ……!』


 吐血する程のダメージは無いものの、全身には痛みが広がっていた。脳が揺れ、視界はせばまり、足元も覚束おぼつかない。


 Demiseを見ろ! 走って距離を取れ!


 頭で考えていても体が反応しない。俺の目の前にはDemiseの巨大な手が迫っていた。

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