第150話 ケモノ、再び。

 8月169日……


 次の戦いに向けて、予定を立てる。172日を含め、3日間の休みを取り、十分に体を休める。170日〜172日までを休日としよう。つまり、訓練に使える日は今日しかない。夜まで訓練するつもりで準備を整え、レイヤー2へと向かった。


 ミチヤが次の戦いに向けて、武器のメンテナンスをしているようだ。ミチヤからシャルを受け取り、型の練習から始める。棒術の基本はもちろん、シャルの伸縮も自分のモノになってきている。


『ハァァッッ!!』


 近隣の家屋を練習台にして、攻撃を浴びせる。


『ふぅ……』


 一息ついていると背後から攻撃の気配がした。振り返り、シャルで防御する。


『やっぱりお前か……!』

【へへへっ。今一度、テメェの腕前を確認してあげようっていう優しさだよ】


 攻撃の主はグレンだった。一撃を防ぎ、グレンを弾き飛ばす。


【なかなかやるようになったじゃねぇか!】

『いろんな人に鍛えられているんでね!』


 再び距離を取る。互いに様子をうかがう。


【これならどうかなッッ!!】


 グレンが消えた。そう思うほどの超高速移動だ。足音がかすかに聞こえる。目で追いかけようにも捉えられない。


『くっ……どこから来る……!?』


 大きな足音が聞こえた。グレンが地面を強く踏み込んだ音だ。その音を頼りに防御態勢に入った。大きな金属音を鳴らし、シャルとグレンの剣がぶつかった。


 その時だった。


 バキィ…ッ!


 グレンはバランスを崩して、転がるようにして吹っ飛んだ。俺もその場に倒れた。


『いってててて……あの音はなんだったんだ……?』


 俺の手には、シャルが握られているのを確認できる。いや、正確には”折れたシャル”が握られていた。

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