第37話 俺の答えは。

 俺は即答できずにいた。


【ヒカルくん、無理はしないでいいのよ?】


 アスカが声をかけてくれた。ジュウザブロウさんは頷いていた。


【ヒカル。戦えないのであれば、資格の剥奪はくだつもできる。資格の剥奪は、ここでの記憶を消去し、レイヤー0の人たちと同じように普通に暮らすことができるんだ。無理強いはしない。先程目にしたDemiseデミスと終わりの見えない戦いをしないといけないんだ。互いを知りつくしてからでは辞めづらいだろうし、辞めるなら今がチャンスだ】


 ……確かにジュウザブロウさんの言うとおりだ。変に情が湧いてしまうと辞めづらいだろう。死ぬことだってあるかもしれない。


 俺は答えを決めた。


『ジュウザブロウさん、アスカ……。俺、戦うよ』


 自分でも不思議だった。格闘技はもちろん、殴り合いの喧嘩なんてしたことない。Demiseのような怪物と戦えるなんて自信があるわけない。でも、本能が”戦う”という答えを出していた。

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