第101話 戦いが終わり。

 戦いはほんの数分だった。3人の息がぴったし合って、これ以上ないくらいにキレイに決着がついた。ジュウザブロウさんとジンとハイタッチをして、お互いをねぎらった。ジンは相変わらず気まずそうだった。


【2人ともよくやった! 素晴らしい動きをしていたぞ】


 ジュウザブロウさんに褒められたジンは、少し嬉しそうに見えた。


【さて、一旦ベースへ戻ろう】


 走ってベースへと戻ると、既に他のメンバーが待っていた。


【はい、最下位ー!】


 戻ってきた俺たちに向かって、グレンがおちょくるように言い放つ。


【あっはっは。こりゃ、やられたな】

『え、ウソ……みんな早くないですか……?』


 オレは狼狽うろたえていた。


【ウチの方は弱くてのう。グレンが一発で仕留めてもうたわ】

【ワタシの方も、イツキさんが華麗に倒してくれたわ】

【いや、アレはアスカちゃんが射撃で体勢を崩してくれたからだよ。僕だけが活躍したみたいな言い方すると、なんか手柄を独り占めしたような気分になっちゃうよ】


 やっぱりみんな慣れているのか、他の戦いもすぐに終わったようだった。ジュウザブロウさんが時計を確認する。


【……よし。時間が動き出した。今回も我々の勝利だ!】


 全員が拍手をして、自分以外をたたえていた。


【俺たち医療班の出番がなくてよかったですよ】


 カイユウは安心した表情を見せた。隣でオトハちゃんもうなずいている。


【サポートチームもありがとう。君らがいるから心置きなく戦えるんだ】


 ジュウザブロウさんがカイユウくんの肩を叩きながら言う。


【さぁ、各々おのおの帰る準備ができたら戻っていいぞ。今日もお疲れ様!】

【【はーい】】


 全員が口々に別れの挨拶をすると、段々と人数が減っていった。

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