第256話 通知音。

『さて、今日もいつも通り……』


 スマートフォンの通知音が鳴った。ショーマかレンからのSONICソニックだろう。これもいつも通りだ。確認は後回しにして、軽く部屋の掃除をすることにした。


『立つ鳥跡を濁さず、ってね』


 掃除の間にも何回か通知音が鳴っていた。10分後、あらかた掃除が終わった。


『部屋が狭いと掃除も簡単に終わっていいな。……っと、スマホスマホ……』


 放置していたスマートフォンを手に取る。


『いつも通りじゃなかった……』


 通知音の正体はアスカからのSONICだった。急いで確認する。


【今日の19時、家にいなさい】

【まだ寝てるのかしら?】

【下からバタバタ音が聞こえるけど、ワタシのメッセージに気づいてないのかしら?】

【無視とは、いい度胸ね】


ズラリとメッセージが並んでいる。


『めっちゃメッセージが飛んできてる……』


 急いで返信をする。


『ごめん! いつもの友達からだと思ったんだ。決して無視していたわけではないんだよ。で、今日の19時って話だけど、なんだ? 今日は予定もないし、家にいるけど……』


 よし、これでいいだろう。すぐに返事がきた。


【そういうことね。それなら許してあげるわ。19時からの話は……まぁ、楽しみに待っておきなさい】


 年下のくせに上から目線だな……。これは最初に会ったときから変わらないな。ある意味、いつも通りだ。


『了解。これ以上聞いても無駄だと思うから、大人しく待つことにするよ』


 そう返事をし、時間を確認する。今はちょうどお昼だ。


『お腹の空き具合は微妙だし、食べなくてもいいか……』


 コップに麦茶を注ぎ、テーブルの上に置く。そして、ゲーム機の電源を入れる。この前久しぶりにやってみたら、結構ハマってしまった。コントローラーを握りしめ、俺はゲームの世界へ旅立った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る