第117話 優雅な昼過ぎのひととき。

 書店を後にした俺は、久しぶりに『オリオンカフェ』へと足を向けた。店頭には期間限定商品の『エスプレッソ・ロマーノ』を宣伝する看板があった。あまり日本では見かけないメニューだ。『エスプレッソ・ロマーノ』は、コーヒーにレモン果汁とレモンスライスを入れたもののようだ。せっかくなので注文してみた。一緒に軽食のサンドウィッチも付け、席へと向かった。椅子に座り、雑誌を読みつつ注文した商品を堪能たんのうする。

 『エスプレッソ・ロマーノ』はコーヒーの苦味の中にレモンの酸味がいていて、癖になる味わいだった。サンドウィッチを食べているとポケットに入れたままのスマートフォンが震えた。スマートフォンを取り出して、画面の確認をする。ショーマからだった。


「よう。今なにしてるんだ?」

『今はオリオンカフェで有意義な時間を過ごしているよ』


 すぐに返信したが、ショーマからの返事はなかった。

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