第219話 遡る。

―――少し時間をさかのぼる。

―――ジュウザブロウ


【予定通り2体だ。A班はトラオムを。B班はウィンクルムだ!】


 オレは全員に指示を出し、オレ自身も担当であるトラオムの方へと体を向けた。数歩歩くと、オレの体に衝撃が走った。


 完全に油断していた。


 気がつくとオレは何者かの腕の中にいた。隙間から仲間の姿が見える。その姿はどんどんと小さくなっていった。


【くっ……!】


 オレを抱えているモノは、建物をなぎ倒しながら、無理やり街を進み続ける。地面に足をつけ、踏ん張って止めようと試みるも、足が浮いているせいで思ったようにいかない。わずかにつま先が地面をかする程度で、勢いを止めることは叶わなかった。

 こいつの目的は、オレをみんなから引き離すことのようだ。今は防御に徹するしかない。纏陣テンジンで守りを固めながら、反撃のタイミングを待つことにした。

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