第107話 2分24秒。

『……はっ!』


 気づいたら眠っていたようだ。外はまだ明るいが、夕方だ。


『飯でも買いに行くか……』


 そう思っているとインターホンが鳴った。


『ん? 誰だ……?』


 玄関に行き、そっとドアの覗き穴に目を近づける。ドアの前にいたのはアスカだった。


『……!! ア、アスカどうした?』


 ドア越しに話しかけるも、よく聞こえていないようだ。ドアを少し開け、もう一度問いかける。


『どうしたんだ……?』

【ヒカルくんの初勝利のお祝いをしようと思ってね。部屋に入っても大丈夫?】

『え!? そ、それは……』

【何か後ろめたいことでもあるのかしら?】


 アスカがイタズラっぽく笑う。


『い、いや、そんなことは……。ちょ、ちょっと部屋片付けるから2、3分待っててくれ』

【わかったわ】


 アスカからの返答をもらうと、急いで部屋を片付ける。”片付ける”と言うより、”押し込んだ”と言ったほうが正しいかもしれない。再び玄関へと戻った。


『ごめん、お待たせ』

【2分24秒……。なかなかのタイムね】

『なに数えてんだ。ほら、入るんなら早く入れ』

【ふふっ。お邪魔させてもらうわ】


 アスカは部屋の中へと入って行った。

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