第23話 壊れたテレビと始まりの音。

 バンッ!


『!!』


 部屋のドアが開き、天照栖アマテラスさんが部屋に入ってきた。


【時間ぴったし! ヒカルくん、こんばんは。】

『あ、天照栖さん……。こんばんは……』


 この家のセキュリティはどうなっているんだ。


【アスカでいいわ。アマテラスってなんか恥ずかしいし、みんな下の名前で呼んでるしね】

『じゃあ、アスカさん。今日は……』


 と話しつつ、なんとなくテレビに目を向けると、テレビが止まっていた。


『……って!! えぇ! テレビ壊れた!?』


 リモコンをイジったり、テレビ本体のボタンを押すも反応はない。肩を落としていると、アスカさんから声をかけられた。


【”さん”もいらないわ。アスカでいいのよ。テレビは大丈夫、多分壊れていないわ】

『え……? でも……』


 俺はテレビを心配していた。


【テレビは置いておいて。さぁ、行くわよ】

『どこへ……?』


 俺の頭はハテナだらけだ。


【ワタシたちの8月は、これからが本番よ】


 遠くから雷が落ちたような音が聞こえた。何かが、始まろうとしていた。


 ……いや、もう始まっていたんだ。

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