第197話 先制攻撃。

『ジュウザブロウさん。いいんですか?』


 ジュウザブロウさんは少し考えた。


【今回の戦闘は2人に任せる。ただし、危ないと判断したら邪魔させてもらうぞ。判断基準はオレだ】

【それでOKだ。しっかり頼むぞリオン】

【そらこっちのセリフやで。グレンちゃん】

【よし。それじゃ、みんな下がってくれ】


 リオンさんとグレンを残して、俺たちはフトゥーロから距離を取った。


【リオンさん! グレンさん! ”コア”は体の中心。人間で言う、心臓のあたりにあります!】


 2人は振り返り、それに手を上げて応えた。そして、再びフトゥーロと向き合った。


【フトゥーロくん、待たせてすまんのぉ】

【さぁ、始めようじゃないか】

〈ァあ…はじメル…〉


 フトゥーロは両手を広げた。見た目は人型とそう変わらない。両者が戦闘態勢に入ったまま、静かな時間が流れた。先に仕掛けたのはグレンだ。


【オラァッ……!!】


 相手の実力をはかるような、大振りの一撃だ。これをどう避けるのか。それとも受け止めるのか。すえを見守った。

 グレンの一撃はフトゥーロの腕に突き刺さった。そして軽々とその腕は切れた。胴体から切り離された腕は、そのまま砂状さじょうになり消えていった。

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