第172話 覚醒のすゝめ。
8月174日……
朝からレイヤー2へと向かう。あの日の戦場を踏みしめ、あの時の感覚を思い出す。いくらイメージしても、そのイメージ通りには体が動いてくれない。
『あれはアスリートで言う”ゾーン”というものなのだろうか……』
”ゾーン”とは、簡単に言うと「究極の域にまで達した集中状態」のことだ。その異常にまで高められた集中力は、球技だとボールが止まっているように見えたり、陸上競技では延々と加速して行くような感覚を得ることが可能になる。
だが、それとは違うような感じがする。こう、言葉では言い表すのが難しい感じだ。本能が体を動かしているというイメージ。これには”覚醒”という言葉が一番合っている気がする。”覚醒”を使いこなすことができるのであれば、これからの戦いも楽になるだろう。シャルを振り回していると背後に気配がした。振り返ると、そこにはジンがいた。
『おぉ、ジン! どうした?』
【あれ、気配を消してたつもりなんだけどな……。ヒカルさんを見かけたので、来ただけなんです。あっ、そういえば、この前はあいつを1人で倒すなんて、本当にすごいと思いましたよ】
『いや、全部が全部、俺1人って訳じゃないんだけどな。まぁ、褒めてくれてありがとう』
その時、妙案が1つ頭に浮かんだ。
『ジン、1つ頼み事をしていいか?』
【内容にもよりますけど……。なんですか?】
『俺を……。俺を殺してくれないか?』
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