第135話 激励。

【なーにぶつくさ言っているんだ?】

『グレン!?』


 俺の肩を叩いたのはグレンだった。


【途中からこっそり参加してたんだ。それにも気づかなかったか。よりにもよって、既視型犬とはなぁ……。小型犬じゃないことを祈るよ】


 グレンは笑いながら話している。俺は、今の思いを正直に話してみることにした。


『グレン、俺はDemiseデミスと戦うのが怖いんだ。この中でも一番弱いし、勝てる自信が……』

【バカかテメェは!】


 グレンの怒号が俺の言葉をかき消した。


【危なくなったら逃げりゃいいのさ。全力でな。で、助けを呼べ。なんのために仲間がいると思ってるんだ? 助け合うためだろうが】

『そ、それは……』

【他のやつだって、オレだって、危なくなったらそうするかもしれない。ヒカルのところに助けを求めにくるやつがいるかもしれない。そうなったら見捨てるか?】

『……見捨てない』

【そうだよ。見捨てるわけがないんだ。お前が勝てなかった仲間を信じろ】


 もう一度俺の肩を叩くと、そのまま振り向いて、どこかへ歩いていった。なんだか心が軽くなった。

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