第268話 重なる姿。

 エンジの放った弾丸は地面に着弾した。ラヴは弾丸を避け、グレンの背後まで移動していた。


『くそっ! 避けられた……!』

【何発でも撃ってやりますよ!!】


 続けざまに3発放った。しかし、ラヴに着弾することはなかった。


【エンジ、惜しいよ!】

【連射するのは待って。エンジくんの体力を無駄に消耗してしまうわ】

『今はエンジだけが頼りだからな……』


 一旦、エンジを後退させる。ラヴはエンジのみを狙っているようだ。グレンとジンで挟み撃ちするも、簡単に受け流されてしまった。ラヴは迫り来る。


【オルァァァアッッ!!】


 横からジュウザブロウさんが飛来した。ラヴを押さえつけることに成功した。


【今だッ!】

【はい!】


 エンジは再びグリップを握り、発射した。放たれた次の瞬間、ジュウザブロウさんは投げ飛ばされた。ラヴは立ち上がり距離を取った。


『なっ……!』

【脚! 当たってますよ!】


 よく見ると、ラヴの脚が傷ついていた。ギリギリで命中したらしい。一度サポート班も含めて全員で集まり、エンジを守る陣形を組んだ。


【ジュウザブロウさん! 大丈夫ですか?】

【あぁ、オトハちゃんに治療してもらったよ。なんとかオレも役に立てたみたいだな】

【イツキの傷はなんとか塞がりそうだ】

【イツキさんは俺がベースまで運んでおきました】

『カイユウくん、ありがとう。……って、リオンさんも大丈夫ですか!?』

【ぼちぼちでんな】


 ラヴの動きが止まった。それだけダメージを負ったということだろうか。


【あの素早さ、トラオムを思い出すぜ……。そう思わないか? ジン】

【確かにあんな感じのスピードでしたね】


 そんな中、オトハちゃんが口を開いた。


【ワタシ、1つ思ったことがあるんです】

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