第19話 意識を繋ぎ止める音。

 8月139日……


 午前10時。目が覚めた。寝た気がしなかった。起き上がる気力もない。ぼーっと天井を見つめる。ここ数日、ずっと夢の中にいるようだ。


 水に沈んでいるような。空に浮かんでいるような。ふわふわとした感覚のまま、時間が過ぎていった。


 意識がどこかへ行ってしまう。そんなときだった。スマートフォンから音が鳴った。ハッと我に返り、スマートフォンを手に取った。何時間経ったのだろうか、と思ったが、実際は目覚めてから15分程度しか経っていなかったことに気づいた。通知音の原因を確認すると、SONICソニックのチャットの通知音だった。すぐさまSONICを起動し、内容を確認する。


「ヒカルー? 大丈夫かー?」


 ショーマからのメッセージだった。たった1行だ。たった1行で人を救うことができるんだ。こういうときに救ってくれるのは、やはりショーマなのか、と笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る