第292話 脱出。
俺の手に、デゼスプワールの体を貫く感触が伝わる。初めて
〈……私を倒したとしても、”時”は戻らない……。絶望と共に……終焉を迎えるだけだ……〉
『どういうことだ……!?』
〈生きていたなら……また会おうではないか……〉
デゼスプワールは不気味に笑いながら倒れ、崩れていった。
『おい! どういうことだ!?』
俺の言葉に反応することはもうなかった。天井にヒビが入る音がした。デゼスプワールが崩れていくのと同時に、この巨大な頭部も崩れるようだ。
『くっ……! とりあえず脱出しないと……!』
デゼスプワールは結構な高さに浮いていた。巨大な腕を登ってここまで来たが、その腕ももう無いだろう。周りを見渡し、何かないか探す。その間にも天井から徐々に崩れていく。
『……あれだ!』
幸いにも、近くにはひときわ高いビルがあった。若干距離が遠いように思えるが、迷っている時間はない。残り少ない足場で助走を始めた。
『いっけェェェェェッ……!』
俺が飛び立つと同時に足場は崩れ去った。
デゼスプワールは消滅したんだ。
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