第115話 4人との戦い。

 8月153日……

 8月154日……

 8月155日……

 8月156日……

 8月157日……


 午前中は訓練、午後はリフレッシュ。自分なりの生活リズムが完成してきた気がする。次の決戦日はまだわかっていない。

 ここ数日はグレン、ジュウザブロウさん、イツキさん、リオンさんの4人と手合わせをさせてもらう機会があった。それぞれ戦いに個性があって、どの戦いも良い経験となった。


 グレンは最初の戦いと打って変わって注意深く、こっちの動きをよく見ていた気がする。あの猛獣もうじゅうのような戦闘スタイルと使い分けているのだろうか。


 ジュウザブロウさんとは実力差があるせいもあってか、終始ペースを握られたままだった。てのひらの上で転がされていた、といっても過言ではない。すべての動きを誘導されているかのように、見事に戦いを支配していた。


 イツキさんは大剣の破壊力に頼らない戦術だった。大剣を時には盾に、時には遮蔽物しゃへいぶつとして身を隠すために利用していた。果ては武器を手放し、体術での戦闘を仕掛けてきた。常識に囚われない戦い方だった。


 リオンさんは短剣ダガーという、イツキさんとは真逆の武器の使い手だった。リーチの差で終始俺が優位に立っていた。しかし、終盤に放燐ホウリンを使い、俺の目をくらますと、瞬時に背後に回り、俺の負けとなった。


 4戦0勝4敗。全敗。


 経験も実力も差がある相手だ。当然の結果だろう。手合わせをしてくれた4人には感謝の言葉しかない。俺はまだまだ強くなれる。4戦4勝を目標に訓練を続けた。

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