第291話 さよなら。

 デゼスプワールの力の根源は”負の感情”だろう。俺から”負の感情”が溢れ出ていた時と今とでは、ヤツから感じる力が違いすぎる。おそらく、俺から”負の感情”が消え去ったことで、デゼスプワールの力が弱まったのだろう。


『ダァラァァァァッ!!』


 俺は突きを放った。デゼスプワールは左手でそれを受け止めようと手を前に出した。シャルはデゼスプワールの左手を破壊した。勢いは止まらず、肩の辺りまで吹き飛ばした。


〈がぁっ! くっ……〉


 デゼスプワールは右手で傷口を押さえた。


〈わ……私は……”時”の支配神……。また……私は敗北するのか……〉

『デゼスプワール。お前は間違った存在だ。”時”を、お前の支配から解き放とう』

〈人よ……。貴様らは……滅びるべきなのだ……〉

『もう少し、もう少しだけ様子を見ていてくれ。悪しき”時”の神よ。再会しないことを祈るよ。……さよならだ』

〈がァァァァッ!!〉


 俺はデゼスプワールの胸を貫いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る