第302話 お話し
とりあえず記事が出てからすぐに渚ちゃんに連絡した。俺はこういうのはノーダメージだが、渚ちゃんはまだ中学3年生。ショックを受けたりしてないか心配である。そう思ってたんだが。
『えへへ〜。ちゃんと可愛く撮ってくれてますね〜』
渚ちゃん。強メンタル。全く気にしてないどころか、写真映りが良くてご満悦の様子。まあ、渚ちゃんは読モで撮られるのに慣れてるのかもしれんな。
でもこういうのって、ファン的には嫌なんじゃないのかな? ほら、ユニコーンとかいるじゃん。応援してる子には清純さを求めてるというか、純潔を求めてるというか。
ネットとかのファンは厄介だって聞くよ?
『私は所詮読者モデルですし〜。そんな大きな騒ぎににはならないですよ〜。それにマネージャーさんや、契約してる会社さんもパン君との交際は知らせてありますから〜。むしろ宣伝になって良かったと思ってるんじゃないですかね〜』
強かである。俺が気にしすぎなだけかな? まあ、他人の交際関係に首を突っ込むなって話なんだけど。人間は有名人のそういうのが大好きだからなぁ。そりゃ、情報媒体はそういうのを取り上げるよねって。
それはそれとしても、この会社は許さんが。俺と渚ちゃんが繊細なメンタルの持ち主だったらどうするんだよ。まだ未成年の交際関係を面白おかしく記事にしちゃってさ。
これで俺が調子を崩したり、渚ちゃんが病んだりしたらどう責任取るんだって話よ。
とりあえず今後の事を話す為に、渚ちゃんに旅館に来てもらう事になった。マネージャーさんもこれを見たらしく、わざわざ東京からお偉いさんを引き連れて来てくれるらしい。
「訴えるのは確定か」
「まあな。迷惑この上ないし」
その日の夕方。
旅館の一室に集まったのは、父さん母さん、渚ちゃんにレオン。監督と渚ちゃんが契約してる会社のお偉いさんとマネージャー。
「俺の伝手で弁護士を紹介する事も出来るが…」
「一応我が社にも専属の弁護士がいます。今回は負ける要素がないですし、お任せ頂ければと」
父さんとお偉いさんが、なんか小難しい話をしてる。父さんは一応会社経営もしてるし、代理人関係で弁護士系にも知り合いが結構いるらしい。渚ちゃんのところにも専属の弁護士がいるみたいだけど。
まあ、俺はあの会社をボコボコにしてくれるなら好きにしてくれって感じ。
「とりあえず今回の騒動に決着が着くまでは、取材やらインタビューどこからも受けん。まともなところもあるやろうけど、また面倒な事になったらかなわんっていう建前でな」
監督が立派なビール腹をたぷたぷさせながら言う。今回の件だけじゃなくて、取材とかで練習時間を取られるのに、嫌気がさしてたからなぁ。丁度良かったんだろう。
ネットでも今回の件は結構燃え上がっている。てか、俺と渚ちゃんの関係を隠してた訳でもないしね。
俺のSNSのフォロワーさんならほとんど知ってるんじゃなかろうか。二人の写真とか載せたりしてるし。ちゃんと渚ちゃんや、マネージャーさんに許可をもらった上でね。
だからほんと今更なんだよな。甲子園の観客ですら知ってた事を、今更面白おかしく記事にするのはどうなんだって事だ。
なんだってこんな馬鹿な事をしたのかね。
意味がわからん。
今は野球にだけ集中させてほしいぜ。
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