第59話 松美林との練習試合 前編


 さてさて、お互いウォーミングアップも終わり、いよいよ試合開始。

 龍宮高校のスタメンは以下の通り。


 1(中)雨宮 1年

 2(捕)后 1年

 3(三)浅見 1年

 4(遊)岸田 1年

 5(一)清水 2年

 6(投)大浦 1年

 7(二)佐々木 2年

 8(左)曽根 2年

 9(右)立花 2年


 うーむ。2年生にもう少し頑張って欲しい所。

 この合宿で筋肉至上主義の清水先輩が飛ばしまくってたからそれは良い事なんだけど。

 ファーストは筋肉マンじゃないといけないのかね。



 試合は松美林先攻なので先頭の白馬君から。

 なんか前回からそんな経ってないのに、雰囲気が違う。

 打ちそうな雰囲気ってより打つのは当たり前で何塁打になるのかって感じ。

 これが彼女持ちの実力かッ!!


 冗談はさておき、大浦は際どいコースに投げ込んでいくが簡単にカットされる。

 初見でタイミング合わせられるのか。


 「やっぱりセンスあるなあ」


 「流石だよね。あの投げ方はタイミング取り辛いと思うんだけど」


 金子と喋ってる間に甘く入ったスプリットを拾われてライト前ヒット。


 「一点覚悟かね、これは。バッターでもめんどくさいしランナーでもめんどくさい。ほんと嫌な選手だな」


 どうせ掻き回してくるんだからバッター集中。

 大浦はまだピッチャーを始めて10日も経ってないし、セットやフィールディングに難がある。

 出来たらこの試合を良い経験にしてほしいね。


 その後、盗塁からの送りバント、犠牲フライであっさり先制点を奪われるも、後続をしっかり内野ゴロに抑えて最小失点で切り抜ける。


 「お疲れ〜。どうだった、初マウンドは?」


 「いやー、やっぱり緊張感は半端ないっす。早速点も取られたっすし」


 「よく一点で抑えたと思うよ。ランナー出した後もちゃんと落ち着いてしね」


 「開き直っただけっすよ。練習試合っすし。俺はバットで取り返すっすよー!」


 やっぱり、大浦は打者向きなのかな? 

 チーム事情でピッチャーやってもらってるのが申し訳ない。


 こちらの攻撃は、ウルがセーフティバントで出塁。

 タイガが進塁打を打ち、レオンは勝負を避け気味の四球。

 1死1.2塁で隼人がセンター前ヒット。当たりが強すぎてランナーは返れず満塁。

 ゴリラ2世の清水先輩がフェンス際まで飛ばす犠牲フライで同点に追いつく。

 2死1.3塁で、バットで取り返すと息巻いてる大浦を迎える。


 うーん。比較的身長が大きい人間が揃ってる龍宮高校にいるからかやっぱり大浦の身長は逆に目立つなー。

 本人は「相手が油断してくれるんでいいんすよ」って言ってるけど甘く見てしまっても仕方ない。

 そして、甘く入ってきたスライダーを叩き左中間を真っ二つ。

 ツーアウトなので打った瞬間にスタートを切っていたランナーが2人とも帰ってきて、タイムリーツーベースである。


 「あいつの打撃開眼はあながち嘘じゃないのかもな」


 「ほんとに開眼してたらピッチャーやらせてるの勿体なくない?」


 そうなんだけども。

 せめて、俺が投げられるまでピッチャーやってもらわないとお前が酷使されちゃうよ?


 まぁ、まだ一本打っただけだし、決めつけるの早いか。

 これからの練習試合で判断しよう。

 

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