第208話 VS浦和1
関東大会二回戦。
相手は浦和。好投手の増田がいるところで、しっかりエースナンバーを付けている。
一回表。
今日は龍宮は後攻なので、俺が早速マウンドに上がる。
「とりあえずプリンスのリード通りに投げるから。落ち着いてきたら昨日練習した新しいチェンジアップのサインも出してくれ」
「分かりました」
投球練習が終わりマウンド上にて。
プリンスと最後の打ち合わせをしていざ。
浦和のスタメンの背番号を見る限り、この試合はガチで挑んできてるらしい。
龍宮ミズチと俺が変わった以外に前回と変わった所はない。とにかく控えや一年に経験を積ませる大会にするようだ。
まぁ、監督は負けるつもりはサラサラないみたいで、前回剛元のところで代打を送ったように、勝ちにいってる。今回も点が取れなかったりしたら、途中で代打やら交代やらをするだろう。
先頭バッターをストレート2球で追い込み、ナックルカーブはカットされるもスラッターで空振り三振。そして2.3番は内野ゴロと上々の立ち上がりだ。
「変化球全部見せたのはどうして?」
「三波先輩が落ち着いたら新しいチェンジアップを投げたいとの事でしたので。早めに他の変化球の調子を見る意味で全部投げてもらいました」
ベンチに戻ってきたプリンスにタイガが早速声をかけている。プリンスは3番だから早速打席が回ってくる。
防具を外すのを手伝ってあげつつ、リードの意図を聞いてるみたいだな。
「先輩してるなぁ。俺も何か声を掛けてあげた方が良かったんだろうか」
別にリードに不満もなかったし。
良かったぞとか、この調子でとか言うべきだっかね。難しいですなぁ。
「調子はどうなんだ?」
「可もなく不可もなく」
ベンチで水を飲んでるとレオンが隣に座ってきた。調子は良いとも悪いとも言えないよね。
甲子園の時は調子が良すぎた。今回はあの時ほどモチベーションが無いんだよね。
「今日は途中からだが渚が来るみたいだぞ」
「え? まじ?」
昨日連絡してた時はそんな事言ってなかったんだけど? 仕事があるとかなんとか。
「撮影場所が神奈川に変わったみたいでな。朝にそんな事言っていた。お前に伝えておいてくれと言われてたのをすっかり忘れていた」
「馬鹿野郎! そういう事は早く言えよな! これは不甲斐ない姿は見せられん! ここからは全打者三振だ!」
一気にやる気が出てきた。
彼女にカッコいい姿を見せれる大チャンス。
ここで燃えない男は果たしているのだろうか。
いやいまい。どうせ次の試合は投げる予定はないんだ。全力で抑えてやろう。
ふんすふんすと気合いを入れてると、一回の裏が終わっていた。
龍宮の攻撃も三者凡退。やっぱり増田は厄介かもなぁ。
「一点取ってくれればいいさ。今日の俺は一味も二味も違うぜ」
浦和はご愁傷様だな。
やる気がノーマルだった俺からなら打てたかもしれないのに。
渚ちゃんが観に来ると分かった俺は無敵だぞ。
完全試合目指してやってやるぜ。
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