第115話 練習試合
「とうとうやりやがったか」
学年末テストが終わった。
そしてとうとう恐れてた事が起こってしまった。
「まさか隼人が補習とはな。絶対最初はウルだと思ってたんだが」
隼人が一教科、赤点を取ってしまった。
先生方は気を遣ってなるべく早く終わるようにしてくれるらしいが、贔屓はよろしくない。
初めての赤点なので、仮進級は免れたけど万が一留年とかしたら洒落にならんからな。
この機会にしっかりと頑張ってほしいものである。
「せっかく他県から練習試合相手が来てくれるのにさぁ」
センバツに出れなかった他県の強豪校が2校来てくれている。
まぁ、向こうも激戦区の東京を勝ち抜いたうちに興味もあるだろう。
わりとよりどりみどりで練習試合の相手を選べた。
「神奈川の東海大と埼玉の浦和。甲子園でも見た事ある名前だよな」
「偵察の意味もあるんだろうね。夏に当たるかもしれないんだし」
センバツに出られない所は既に夏を見据えてるもんなぁ。
「そういえば、卒業式の時、北條先輩がセンバツ見に来てくれるって言ってたな。行けたら行くって」
「行けたら行くって、大阪では断り文句らしいよ」
え、そうなの? でもここ東京だし、大丈夫だよね?
「大学の準備とか練習もあるだろうし、本当に来ないかもね」
あの初代ゴリラに限って、そんな事をする訳がない! なんだかんだで来てくれるって信じてるよ!
1試合目は、東海大と龍宮の試合。
龍宮の先発は復活したエースのキャプテン。
秋に投げた時は、変化球が抜けまくりだったが、今日はそんな事なく、しっかりと調整出来ている。
ランナーは出すものの、三塁は踏ませないピッチングで六回を無失点で大浦にスイッチ。
キャプテンはそのまま外野に入る。
意外とバッティングも良いんです。羨ましい。
打線は相変わらず絶好調。
隼人が補習でいないものの、レオンの新フォームお披露目試合でホームラン。
あいつはもうどうしようもないね。
ホームランはレオンの一本しか出なかったが、打線は繋がり、最終的に6−3で勝利。
大浦はやっぱり強豪校には中々ピッチングが通用しないな。
バッティングで貢献してくれてるから全然良いし、キャプテンも復活したから、大浦が投げるシチュエーションは多くないだろうからな。
2試合目は龍宮は休憩。
東海大と浦和の試合を見守る。
「浦和のあの投手ってシニアの時に戦った事あるよな? 確か一点しか取れなくてギリギリで勝てたんじゃなかったっけ?」
レオンもヒット一本に抑えられて、中々援護してくれねーなーとか思ってたから印象に残っている。
俺が投げてなかったら危なかったね。
「えーっと、確か増田だったかな? 色んな所から誘われてそうなのに地元の浦和を選んだっぽいね。夏と秋はベンチ入りしてなかったみたいだけど、冬で頭角を現した感じかな?」
タイガ君、よく知ってるね。
野球関連の事は覚えられるくせに、勉強が出来ないのはなんでだろうね。
まぁ、赤点取ってないからいいけどさ。
「ふむん。あのスライダーが厄介そうだな。特に右打者は。キレキレだもんね」
この冬で急成長した、まだ見ぬ強者とかもいるんだろうなぁ。
それと対戦するのは楽しみでもあり、憂鬱でもあるね。まぁ、負ける気はないけどさ。
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