第3章 秋までの道程
第50話 新チーム始動
元キャプテンの北條先輩達が引退し、新チームが始動した。
三井先輩や監督は早速3年生が抜けた穴をどうするか話し合っている。
俺も怪我しててやる事が無いので話し合いに参加している。
「やっぱり北條先輩が抜けた穴がでかいですね」
「そやなあ。レオンの後ろに隼人しかおらんのは困るなあ」
スタメンで抜けたのは北條先輩のファーストと外野2人。
特に下位打線だった2人はともかく、レオンの後ろで4番を打っていた北條先輩の代わりがいない。
入学した当初は、レオンが4番を打っていたんだがバケモノっぷりが知れ渡ると歩かされる事が増えてきた。
隼人が高確率でランナーを返してくれていたのだが、それでも歩かされる。
そこでレオンを3番にして、後ろに北條先輩と隼人を置いとくと、比較的勝負してくれるようになった。
流石に、毎回ランナーを置いて2人と勝負は分が悪かったのだろう。
だが、北條先輩がいなくなったのでまたこの問題が浮上してる訳だ。
「仕方ない。この俺が! この前ホームラン打ったこの俺が! 5番に入ってあげましょうかね!」
「ほんま、どうするよ。后5番に持ってくるか?」
「いや、タイガは器用なんですよね。打てるし小技も出来る。2番にピッタリなんで動かしたくないすね」
「そやねんなー。うーん、難しいなー。打線だけじゃなくて、投手陣もやばいよなー」
え? こわ。フル無視ですやん。
もしかして俺の見えてらっしゃらない?
俺が5番入るよって。
なんか覚醒した気がするもん。
「金子しかおらんで。どないするよ?」
「まさか、俺と豹馬が同時に怪我するとは思って無かったですからね…」
そう。現在の龍宮高校には専業投手が金子しかいない。
俺は秋大会までに怪我は治るだろうけど、落ちた筋肉をどこまで戻せるかは未知数である。
三井新キャプテンに至っては、秋は絶望的。
大会が始まる頃に怪我が治ってそこからリハビリだからね。
「誰か急造で投手に仕立て上げるか、金子を酷使するか」
「あかんあかん。金子はまだ1年やし体もちゃんと出来てないねん。素材はええねんから大事に使っていかんと」
「ですよね。すると急造投手ですが…」
「豹馬。お前らの中で誰か出来るやつおらんのか?」
そう言われましても。
中学の頃は俺ともう1人のピッチャーで十分回ってたしなー。
遊びでやった事があるくらい。
って感じの事を監督に伝える。
「ふーむ。そんな上手い事はいかんか。レオンとか出来ひんのか? ポテンシャルは凄そうやけど」
「あー、あいつが1番センスないです。俺がバッターやるのと一緒でびっくりするほどセンスないです」
「そらあかん。試合負けに行く様なもんやんか」
わっはっはっは。とキャプテンと監督が笑ってるけど、これはもしや、馬鹿にされてる?
まぁ、言ったのは俺だけどもさ。
「思った以上にやる事が多いですね。打者の能力UPに急造投手を作る。大会が終わったばっかりなのに全然ゆっくり出来ないっす」
「それが高校野球っちゅーもんや」
「まぁ、俺と豹馬は怪我しててやる事ないんで投手陣の事は手伝えると思いますが、何から手をつけます?」
「全部や。どうせなら全部強化しよう。豹馬、親父の予定聞いといてくれ。合宿するぞ」
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