第11章 二度目の夏
第244話 ベンチ入りメンバー
「注目されてるねぇ」
神宮にて。
全国高等学校野球選手権西東京大会・東東京大会の開会式が行われている。
龍宮はシードって事もあってまだ試合は少し先だが、開会式が終わってすぐに試合の学校もある。
慌ただしいよね。
胸元にデカデカと龍宮と書かれたシンプルなユニフォームを身に纏い、くそ暑い中お偉いさんのお話をダラダラと聞いてる訳だ。
絶対誰もまともに聞いてないよね。これ、一種の虐待だよ。普通に選手宣誓してはい解散で良いじゃん。誰がおっさんの話を聞きたいんだよ。
で、龍宮は春のセンバツを優勝した事もあってかなり目立っている。さっきからチラチラと視線を感じるもの。まぁ、髪の毛が長かったり、染めたりしてるせいもあるんだと思うが。
「でも去年よりハゲが少なくなってる気がするな」
「言い方。坊主って言いなよ」
すまぬ。暑くて頭があんまり回らんのです。
人口密度が半端ないんだよ。そのせいで余計暑く感じるんだ。
でもハゲ…じゃなかった、坊主が減ってる様な気がするのは本当だ。これも俺達が批判に負けずに結果を出した成果なんじゃなかろうか。
まぁ、正直髪の毛染めたりしてるのは俺達もやりすぎかなと思ったりもしてるけどね。
髪の毛も邪魔にならない程度の長さにしてるし。
1 三井 3年 投手 キャプテン
2 后 2年 捕手
3 清水 3年 内野手
4 佐々木 3年 内野手
5 浅見 2年 内野手
6 岸田 2年 内野手
7 大浦 2年 外野手
8 雨宮 2年 外野手
9 曽根 3年 外野手
10 水野 3年 捕手
11 金子 2年 投手
12 佐藤 2年 内野手
13 白河 3年 内野手
14 関 3年 外野手
15 三波 2年 投手
16 王子 1年 捕手
17 一二三 1年 外野手
18 蛟原 1年 投手
19 速水 1年 内野手
20 剛元 1年 外野手
ベンチ入りメンバーはこんな感じ。
一年は特待準特メンバーに一二三少年が。
後はバランスを見て満遍なくって感じだな。
監督はかなり悩んでたけどな。特に3年生はこれが最後の大会だ。出来ればベンチ入りさせてやりたい。でも1年も入れたい。うんうんと悩んでました。ビール腹がちょこっと凹んだような気がする。
選ばれた部員は選ばれなかった人達の為に頑張るのみ。なんとしてでも甲子園に連れて行ってあげたいところだ。夏が終わるまではサポートしてくれるしね。
それと剛元が正式に外野手にしておいた。
本職はサードなんだけど、そこには魔王が居座ってるので。まぁ、レオンの代わりにサードで出る事もあるかもしれないが。外野の練習も頑張ってるしね。
俺は相変わらず背番号15ね。
大好きな番号なので。俺は生涯この番号しか付ける気はない。プロ入りの時もごねる気満々である。
なんか最初はこだわりなんて無かったんだけど、ずっとつけてると愛着が湧いてくるんだよね。
今では15番以外考えられないよ。
「吹奏楽部とチア部も盛り上がってきてるな」
「この応援があるかないかで試合のモチベーションが全然違うからな」
練習前に中庭で暑い中練習してくれている吹奏楽部を隼人とチラ見する。
なんで珍しく隼人と二人きりなのか。それは隼人の目線を追ってくれたら分かる。吹奏楽部に彼女がいらっしゃるんです。チンピラみたいな見た目をしてるくせに、彼女を見る目はかなり優しげ。
小動物みたいな可愛らしい彼女さんなんだけど、どうやってアプローチしてゲットしたんだろうか。
そういえば隼人って高校入って、割と早めに彼女が出来たんだよな。
馴れ初めとか全然聞いてないんだけど。
どっちから仕掛けたのかすら知らない。
隼人も照れるのかはぐらかして教えてくれないし。でもこの感じを見ると隼人からなんだろうな。
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