第21話 VS八王学園3
二回裏。
相手の4番にストレートを弾き返されるが、続く5番がスプリットを引っ掛けダブルプレー。
次の打者もショートフライと結果的に3人で仕留める。
「ストレート甘かったかな?」
「そうすね。ちょっと内寄りに入ってきてました」
「ちょっと甘く入ると、簡単に打たれるもんなー。強豪校は凄いや」
タイガと話してる三井先輩はかなりリラックスしてるみたいだ。
なんだか好打者との対決を楽しんでるように思える。
成長を実感してるんだろうな。
あー、俺も投げたい。
五回ぐらいになったらブルペン行こうかな。
もしかしたら、相手にプレッシャーかけれるかもしれんし。
「三井先輩は絶好調ですよー! ここは相手エースを打ち崩してコールド目指しましょー!」
もっと上に行ったら今日よりエグいピッチャーはいっぱいいるんだ。
ここで足止めされてたら甲子園なんて夢のまた夢ですよ。
俺はチームのみんなに発破をかける。
しかし、やはり初見ではきついのか。
キャプテンはセカンドフライ。
隼人は四球で出塁するも、6番、7番と三振に倒れ、得点ならず。
うーん。流石プロも注目してるだけあるね。
観客席にスカウトっぽい人いるし。
さっき父さんに挨拶してるのみた。
パンサーズの人かな?
だが、今日の主役は俺だと言わんばかりに三井先輩の調子がいい。
三回もあっさり三者凡退で帰ってくる。
「チェンジアップが有効っすね。良い感じに的を外してると思います」
「まだ、偶に抜けるから怖いんだけどね」
「試合展開もまだ余裕ありますし、どんどん投げて試していきましょう。実戦に勝る練習はないですからね」
あー、楽しそう。タイガめっちゃ楽しそう。
なんか悔しい。
はっ!? これが寝取られ…
流石に冗談だが、楽しそうなのは事実。
ちょっと先輩キャッチャー引っ張ってブルペンで憂さ晴らししよう。
「ブルペン行ってきまー」
「あ、俺も行く!」
金子も触発されてついて来た。
試合は進んで六回裏。
龍宮高校はヒットは出て来たものの、最後の一本を打てず、追加点は奪えていない。
相手の八王学園は、ここまで2塁すら踏めていない。
三井先輩が良すぎる。
今頃、スカウトも目の色変えてるんじゃないですかねぇ。
「ダメだ。金子、戻るぞ。三井先輩はイジワルして今日の出番を与えてくれなそうだ」
「絶好調だよね。投げたかったなー」
金子と俺は今回の大会、まだ投げてないのでフラストレーションが溜まっている。
まぁ、俺はオスグッドのせいなんだが。
前世ではならなかったのに。
サッカーとかバスケやってる人しかならんと思ってたわい。
ベンチに戻ると、丁度六回もしっかり抑えて三井先輩が帰ってきた。
「球数はー?」
「87球です」
ベンチに入ってる記録員の2年生マネージャーが監督の問いに答える。
「三井、疲れとるか? 調子が良いのは見てたら分かるんやが」
「アドレナリンが出まくってるんで、自分で疲れてるか分かんないです。どこかで集中キレたら一気にドッときそうすね」
「ふむ。金子! お前もっかいブルペン戻れや。追加点取ったら変えるぞ。万が一打たれても後ろに豹馬も控えとるし、楽に投げれるやろ」
「はい!!」
金子がウッキウキでブルペンに戻っていく。
うらやますぃー。
「ってわけや! バッター陣! そろそろ追加点取って三井楽にしたれや! 金子にも経験積ませたいしな」
監督の口調が段々と素になってきてる。
普段は丁寧な言葉を心掛けてるらしいけど、テンションが上がってくると怪しい関西弁が出てくる。
まぁ金子が経験積めるのは良い事だと思うし、バッター陣には頑張って貰いたいね。
七回表。
龍宮高校の攻撃は打順良く、1番のウルからだ。
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