第20話 VS八王学園2
初回レオンの先制スリーランホームラン。
打たれた大井は呆然としている。
まぁ、一年坊に真ん中とはいえこんなあっさり打たれるとは思ってなかったんだろう。
ご愁傷様です。
打ったレオンは淡々と喜びを見せるでもなく、当たり前と言わんばかりにダイヤモンドを一周した。
「ナイバッチ! 完璧だったな!」
「あんな甘めのボールを投げられると流石に打たない訳にはいかんからな。これでピッチャーが崩れてくれると大分楽になるんだが」
レオンの言葉通り、大井はショックから立ち直れていないのか、続く4番のキャプテンにツーベースを打たれピッチャー交代となる。
舐めてかかった相手に、一つもアウトを取れずにノックアウト。
俺が大井ならトラウマになるね。
変わって出てきたエースの高山はまさかこんな早く出番が来るとは思っていなかったのか準備不足の様にみえる。
その代わりっぱなの初球のアウトコースのストレートを5番の隼人は狙い打ち。
連続ツーベースで更に一点を加えた。
その後も四球で1人ランナーを出したが凡退。
八王学園にとって悪夢のような一回表が終了した。
「うーん。もうちょっと動いてプレッシャーかけるべきだったかな。落ち着きないうちに後2.3点取りたかった」
監督がちょっと自分の采配に納得いってないようだがとりあえず先制パンチは成功である。
「三井先輩! この裏重要っすよ! 相手を完璧に落ち着けない為にも! 完璧な投球期待してます!」
「煽るねぇ。先制点取ってもらって余裕を持って投げられるからね。そっちこそ、完璧なリード頼むよ?」
タイガと三井先輩が喋りながらグラウンドに向かう。
八王学園に特筆すべき選手はいない。
でも、中堅校の4番バッターが9人並んでる感じなのだ。
決して油断出来る相手ではない。
三井先輩の先頭バッターへの初球。
インコースへのストレート。
バッターは先制点を取られて焦っているのか初球から手を出してしまい、詰まり気味のサードゴロ。
続く2番バッターはスプリットで、3番はチェンジアップで三振と完璧な立ち上がり。
「三井先輩! 文句無しっすよ!」
「ありがとう。バッターはびっくりした顔してたけど情報収集とかしてなかったのかな? やっぱり相当舐められてるよね」
「多分してないっすね。ストレートの速さにもびっくりしてましたし。三井先輩のストレートは綺麗なスピンかかってるんで相手のエースと同じぐらいに思えたんじゃないですか?」
「まぁ、149キロまでは出るようになったからね。これからの成長が楽しみだよ」
完璧な立ち上がりにタイガと三井先輩も上機嫌である。
相手ベンチが目に見えて焦ってるのがわかる。
ここで追加点とか取れたら試合は決まったも同然なんだがそうは相手エースの高山が許さない。
二回は打者一巡して先頭のウルから。
しかし、7球粘ったものの最後はフォークにバットが止まらず空振り三振。
ウルは三振が少ないバッターなので素直に驚く。
「びっくり。あれは初見じゃきついよ。三井先輩のスプリット程スピードはないけど落差が凄い。チェンジアップかと思ったら消える様に落ちてった」
むむむ。流石強豪校のエースか。
一筋縄ではいかなそう。
2番のタイガもフォークに手が出て連続三振。
「この打席は見てった方がいいかも。チェンジアップとフォークの球速が同じぐらいで見分けがつきにくい」
タイガが次の打者のレオンにアドバイスしている。
やはり中々厄介そうである。
「ふむん。とりあえずストレートにヤマ張って、変化球は見逃す事にするか」
そう言いながら打席に向かったレオンは、ファーストライナーに倒れて首を傾げながら戻ってくる。
「映像の通り、ストレートが微妙に動いている。捉えたと思ったが芯を外されてたみたいだ」
この回は三者凡退に終わり、いよいよ向こうのエースも本格的に肩があったまってきたみたいだ。
初回の攻撃で内心は、もう勝ったと思っていたが認識を改めないといけないな。
二回表終了。
龍宮4ー0八王学園
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