第24話 VS創英高校1


 「絶好調〜絶好調〜今日もボールが走ってるぜ〜絶好調〜絶好調〜誰にも打たれる気がしないぜ〜」


 三波豹馬。絶好調である。

 成長痛で休んで、結構不安だったんだけどなー。感覚はすぐ戻せたし、MAX149キロでたし物凄く良い感じ。


 「あんまし飛ばしすぎるなよ。明日試合だぞー」


 「それが今、8割ぐらいの力で投げてるんだよね。自分でも怖いぐらい絶好調」


 「練習で調子いいのに、試合になると打たれるパターンのやつやめろよ? お前シニアの時ちょくちょくあったじゃん」


 耳が痛い。

 なんでか試合になると急に球が走らなくなる時があったんだよね。

 それでも誤魔化しながら抑えてきたんだけど高校の強豪レベルだとそうはいかんだろうしなぁ。


 「それは明日の俺がなんとかするさ。今日の俺より明日の俺の方が優秀だからな!」


 「抑えてくれたらなんでもいいよ」


 「お前らも3点ぐらいは取ってくれよなー。三井、金子ペアに続きたい所だけど完封出来るって言えるほど自惚れてないし」


 「それなー。ビデオ見たけどやっぱり、ピッチャーの西は厄介そうなんだよなー」


 西とは、創英高校の3年生エースである。

 140キロ前半のストレートに、カットボール、シュート、ツーシームを投げてくる。

 球速差がほとんどなくかなり手こずりそう。

 多分意図的にストレートの球速落としてると思うんだよね。

 出そうと思えば後5キロぐらいはスピード上げれそう。

 まぁ球速差無くして打ち辛くしようとしてるんだろうけど。


 「俺はクリーンナップかー。高校通算4割超えって普通に凄いよな」


 創英の3番内海、4番中居、5番外川の、内中外トリオ。

 バシバシホームランを打つって訳じゃなく、広角に打ち分け出来るアベレージヒッターだ。

 選球眼も良く、俺も苦戦しそうである。


 「甲子園行ったら化け物ばっかと対戦するんだから良い予行演習じゃん」


 「そうだな。ポジティブに考えよう」






 翌日、10時から試合なので朝から試合会場にやってきてウォーミングアップする。


 「あーやっぱエース先発っぽいよなー。舐めてかかってきてくれたら楽なのに。腹立つけど」


 「八王との試合を見てそれをやってきたら馬鹿でしょ」


 「強豪校がコールド負けってインパクトあるもんなー」



 試合時間も近くなり、メンバー表を見てみてもやはりベストメンバー。

 そりゃそうよね。

 流石に八王との試合は見てるよね。

 

 今日は後攻なので、俺はまっさらなマウンドに上がる。

 初球はアウトローにストレートと決めてある。

 本日を占う大事な一球。

 タイガのミット目掛けて投げ込んだ。


 「ストラーイク!」


 三波豹馬。どうやら本日も絶好調である。

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