第292話 浜松との試合


 「まあ、こうなるよなぁ」


 二回戦の浜松との試合。

 現在6回裏で龍宮の攻撃。

 スコアは8-0とリードしている。


 先発は予定通り金子が投げてて、ここまでヒット2本四球1つで二塁すら踏ませない完璧な内容。


 浜松は金子のカーブにバットがクルクル回っている。今日の金子は絶好調すぎるぜ。ストレートも常時130キロ後半で、ペース配分をしてるのに、そこそこスピードが出てる。ほんとに成長したなぁって思うね。


 そして打者陣。

 なんとレギュラー組がほとんどベンチスタート。出てるのは清水先輩と一二三少年、速水だけだ。


 後は控え組を中心に試合に出てるんだけど、それでもこの点差。なんか滅茶苦茶層が厚いチームって感じになってる。新設校なのに。


 この日4番に入ってる二代目ゴリラの清水先輩がホームランを打ったり、3番の一二三少年が、2打点。1番の速水は全出塁してるし、5番の剛元もしっかり打点をマークしている。


 唯一一年組で試合に出てないのはプリンス。今日は三年生の先輩キャッチャーがスタメンマスクを被って、金子をしっかりリードしている。


 先輩は前回の試合で俺と同様に出番が無かったからね。初の甲子園スタメンって事でかなり張り切っていた。


 「これで出てないのは俺だけになった訳だが」


 「立派なベンチウォーマーだよ」


 タイガが鼻で笑ってくる。いいさ。次の試合で無双してやるんだ。今は金子の活躍を喜ぼう。ほんと立派に成長しちゃって…。掲示板民と同じぐらい嬉しく思ってるよ。


 今頃掲示板は狂喜乱舞してるんじゃないかな。あそこは金子の事になると、テンションがおかしくなるからな。


 「ブルペンに行って練習でもしようかな。最近練習量が足りてないし。タイガ、付き合ってよ」


 「ごめん…俺にはマリンがいるから…」


 「お前頭おかしいんか?」


 話の流れを考えたらそうはならんやろ。

 それで言ったら俺には女神の渚ちゃんが居ますけど? 甲子園は初戦から観に来てくれてるんだ。俺の出番はないけど、兄貴は初戦に出てるからね。




 「おっ! 2世選手が出てきよったで!」


 「三波ー! お前いつになったら投げるんやー! こっちはお前を観に来とるんやぞー!」


 タイガと馬鹿話をしつつ、ブルペンへ。

 高校野球の甲子園のブルペンは観客席と距離が近い。だから野次馬の声が良く聞こえる。ここで反応しちゃいけない。またネットで玩具にされちゃうからね。俺も学んだのです。


 「お前浅見の妹と付き合っとるらしいなー!」


 「このロリコーン!!」


 「二歳下はロリコンにならないだろ!」


 くっ。思わず反応してしまった。

 流石にロリコン呼ばわりは捨て置けない。

 歳の差二歳は割とありふれてるだろうが。


 「「ぶわっはっはっは!」」


 なんかウケた。何が面白いんだ。高校生の恋愛事情ぐらい放っておいてくれよな。これが小学生と付き合ってるとかならネタにされても仕方ないし、ロリコンって呼ばれても我慢出来るんだけど。


 全く。関西人は笑えたらなんでも良いと思ってないか。これだから関西人はダメなんだ。(ド偏見)もっと慎みある野次をお願いしますよ。

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