第285話 VS薔薇巻西1
地獄のような開会式が終わって、俺達はすぐに試合準備である。既に体力は軽く消耗した気がするけど、1日目の1試合目、しかも春の優勝校って事で注目度が高い。
無様な姿は見せられないってこったな。
「相手のスタメンは県大会と変わらずか」
まあ、俺達もそうなんだけど。
万全の布陣で一回戦に臨みますよ。
試合前の整列。
薔薇巻西の注目バッター、薬師君はレオンをガン見している。ライバル視してるんだろうか。あなたが戦うのはレオンじゃなくて、キャプテンだと思うが。
一回表。
龍宮の攻撃からスタート。
やかましいサイレンがなってプレイボール。
「相手エースはあれだな。ミズチとキャプテンの中間って感じ」
「右の本格派は大体そうなるんじゃないの?」
まあ、確かに。
金子はストレートのMAXが140キロを超えてるけど、変化球ピッチャーとしての方が有名だしな。あのカーブはちょろっとだけど、ニュースで特集されてたくらいだ。
ほとんどのカーブを投げ分けるのは本当に凄い事だからね。
そんな事を話してると1番のウルが9球目をセンターに弾き返した。
「ノーボールツーストライクからフルカウントまで粘られて最終的にはヒット。ピッチャー側からしたらやってらんないな」
「いやらしいよね」
ウルはどんどん嫌なバッターに成長していくな。出塁率は元から高かったけど、打率もどんどん上がってきている。将来的には白馬君ぐらいのバッターになってほしい。
2番のタイガは最初からバントの構え。
相手エースは牽制を二回入れてから、投げてきた。
そしてウルはスタート。タイガはバットを引いてヒッティング。
打球は1.2塁間を抜けてライト前ヒット。
ウルは三塁まで進んで、ノーアウトランナー一.三塁だ。
そしてレオンの名前がコールされると、甲子園は大歓声に包まれる。
「プレッシャーやばいだろうな」
「レオンは気にしてなさそうだけど」
これだけ期待されたら高校生ならプレッシャーに押し潰されてもおかしくないけど。
魔王さんには関係ないらしい。
インコースに入ってきたストレートを、レオンはそのまま引っ張った。
「当たり前のようにホームランを打つな」
打球は少し詰まってたものの、ライトスタンドの最前列に飛び込んでいった。
一塁を通った時に、薬師君が凄い顔でレオンを睨んでたぞ。相当レオンの事を意識してるんだな。
「まあ、普通なら高校通算90本ってのはもっと騒がれるだろうしな」
「龍宮のクリーンナップが話題を持って行っちゃってるからねぇ」
レオン、大浦、隼人は春に名前を売りまくったからなぁ。俺達がいなかったら甲子園の主役もありえたのに、話題を掻っ攫っちゃったから。
「それもキャプテンから打てればまだまだ全然分からないと思うが。楽しみだなぁ」
俺はキャプテンが勝つんじゃないかと思ってるけどね。あの三高戦でキャプテンは一皮剥けたのか、練習でもキレッキレのボールを投げていた。
薬師君がレオンクラスの化け物でも良い勝負になるんじゃないかと思ってます。
まっ、今は仏頂面でダイヤモンドを一周して帰ってきたレオンを祝福しますかね。
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