第27話 VS創英高校4


 思わぬ形で先制点を取った俺達龍宮高校は帰ってきた隼人を迎える。


 「どうしたよ! ランナー居ないのに打っちゃって!」


 「いや、色々考えてたんだがめんどくさくなってなぁ。インコースのストレートだけにヤマ張ってそれが当たったってだけだ。あれがカットボールだったらドン詰まりだっただろうなぁ」


 ヤマ張って打てるのかよ。それで打てるなら苦労しないんだが。by一打席目三振男。


 「スカウト見てるからって張り切り過ぎじゃん! この目立ちやがり屋め!」


 「うるせぇ! ぶっ飛ばすぞ! 俺は大学進学希望だよ! お前の方が見せつけてるじゃねぇか!」


 えへへ。

 今日は前回の圧勝で注目されたのか、スカウトが多く見える。

 平日で観客も少ないので良く目立つ。

 因みに、龍宮高校でプロ志望は俺と、レオン、三井先輩だ。

 キャプテンや他のシニア組は、大学経由でのプロ志望らしい。

 大学は高校より更に縦社会でダルいって聞くけど、隼人は大丈夫なんですかねぇ。

 シニア組はドラ1で選ばれたいらしく、高卒は俺とレオンでドラフトを取り合いになるからきついと思ってるらしい。

 それなら大学行ってから結果残してって考えてるらしい。

 なんか、どうもすみません。

 でも、俺達の知らんバケモノがまだまだいるだろうし、ドラ1取り合いはまだ分かんないんじゃないかなぁ。

 そうなったら承認欲求満たされるから嬉しいけど。俗物なもんで。



 その後のバッターは凡退に倒れ、六回表。

 8.9番を三振で抑えるも、1番バッターにドン詰まりの内野安打を打たれる。

 点取った後のこの回はしっかり三者凡退で終わらせたかったんだが仕方ない。

 次の2番をショートゴロに抑えてベンチに戻る。

 次は俺からの打順なので意気揚々である。

 俺も隼人見習ってストレート一本に絞っていこう。



 ワンアウトになり、打順はトップに戻ってウル。

 俺は初球のツーシームにボテボテのセカンドゴロでした。

 ストレートに見えたんだよ。

 とことん打撃センスないな。


 ウルは、流石に目が慣れたのかストレートを打ってセンター前ヒット。

 タイガはセーフティ気味の送りバントで1塁はギリギリアウト。

 ツーアウト2塁でバッターレオンである。

 俺なら敬遠も視野に入れるなーなんて思ってたけど、創英バッテリーは勝負するらしい。

 まぁ、後ろにキャプテンと隼人いるからなぁ。

 難しい判断です。


 そして、初球。


 アウトコースへのストライクからボールになるカットボール。

 レオンはストレートだと思ったのか空振り。

 2球目は高目の釣り球のストレート。


 これにも手を出してファール。あっさりと追い込まれる。


 敵ながらすげーななんて感心してると3球目。


 初球と同じくアウトコースへのカットボール。

 少し甘めに入った球をフルスイング。

 打球はレフト方向に伸びていったが、若干詰まっていたのか、フェンス直撃のツーベース。

 貴重な貴重な追加点である。塁上のレオンは不満そうな顔してるけど。

 甘めに入ったせいで詰まったんだろうなぁ。

 詰まってフェン直もおかしいと思うけど。

 だが、この追加点で相手エースの糸が切れたのかキャプテンはヒットでランナー1.3塁。

 そしてなんと隼人が二打席連続ホームラン。びっくりである。


 何はともあれ、これで5ー0である。

 これは流石に勝負あったんじゃないでしょうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る