第26話 VS創英高校3


 試合は進んで、4回表。

 両校共に、ヒットは一本ずつと投手戦を繰り広げている。

 俺は連続三振を8人まで伸ばしていたが、安牌と油断した9番にポテンヒットを打たれ、タイガに鼻で笑われた。

 しかし、その後の1番バッターをしっかり三振で抑えてここまでのアウトを全て三振で奪っている。

 三振ジャンキーの俺はクスリキメたみたいにハイである。

 こちらのヒットは北條先輩の内野安打。

 だが、そのあと隼人がダブルプレーに倒れている。

 あいつはリア充だからな。仕方ない。


 2番から始まるこの攻撃。

 相手もそろそろ三振ばっかりというのは嫌なのだろう。

 バントの構えで揺さぶってきたりしていたが、結局三振。

 バントしたいならお好きにどうぞだ。

 俺のボールはバントしにくいと思ってるしね。


 3番の内海はナックルカーブを引っ掛けてファーストゴロ。

 ようやく三振以外のアウトである。


 4番の中居はチェンジアップ、ナックルカーブにはピクリとも反応せず、明らかにストレートにヤマを張ってる感じである。

 スラッターを投げても良いがここはナックルカーブ。

 アウトローにボール半分外れたコースに投げる。それをタイガが見事になフレーミング。

 審判のコールはストライクである。

 明らかに不満そうな顔な中居。

 こちらにも視線を送ってきてたので、満面の笑みで返してやった。

 これでイライラしてくれたら儲け物ですよ 



 「あー楽しい。やっぱ三振って良いよな。日々の生きる活力になる」


 「ほんまに絶好調やな。ベンチから見てても安心して見てられるわ。出会い頭の一発だけは勘弁してほしいけど」


 「こんな調子良いのは4年に1回しかないすよ!」


 「オリンピックかいな」


 監督と喋りながら、裏の攻撃を眺める。

 この回は2番のタイガからで粘ってはいるが、中々前に飛ばせていない。


 「あのツーシーム厄介やなぁ。ほとんど芯を外されとる」


 「無理やりパワーで持ってくしかないすね。レオンとキャプテンに期待しましょう」


 だが、タイガがセカンドゴロ、レオンはライトフライ、キャプテンは三振に倒れる。


 「凄いな。レオンが二打席連続で凡退してるぞ。高校入って初めて見た」


 「これは投手同士のガマン比べですねぇ。負けるつもりはサラサラありませんが」


 そう言いながらマウンドに上がる。

 大丈夫大丈夫。

 最終的にレオンがなんとかしてくれるさ。

 それぐらいバケモノやと俺は知っている。

 レオンが打ってくれるまで俺が抑えればいいだけ。

 簡単なお仕事です。


 そう言いながら、5番の外川はサードゴロ。

 6番.7番は三振に抑えてサクッとベンチに戻る。


 そして五回裏。隼人からの打順。


 「そういえば、序盤から粘ってるから結構球数投げてますよね?」


 「今、98球だね」


 マネさんが教えてくれる。

 結構投げさせられてるな。

 これは三巡目が楽しみだーなんて思ってると、カキーンと芯を喰った打球音が聞こえてきた。

 そして、隼人がホームランを打っていた。


 「いや、お前が打つんかい」


 仏頂面でダイヤモンドを回ってる隼人を見て思わず言ってしまった。

 あいつランナーいないとやる気出さないくせに。

 前の打席のダブルプレーを相当気にしてたんだろうなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る