第71話 VS三松学舎2


 「あちゃー。調子に乗り過ぎたな」


 五回裏。

 三松学舎の7番バッターにスリーランホームランを打たれ、4ー3の一点差に詰め寄られる。

 

 金子は四回までは、ヒット一本に抑えてたけどこの回からストレートとツーシームを狙われた。

 ツーアウトながら、ヒットと四球でランナーを出すと2球続けたツーシームを捉えられた。

 その後も、四球とヒットを打たれたものの、リードを保ったまま五回は終わったけど、相手打線が段々タイミング合ってきている。


 「豹馬ー。七回から行くぞー。肩作っとけー」


 「いえっさー!」


 「豹馬は久々の試合やからなー。試合勘が鈍ってるはずや。点取って楽に投げさせたれよー」


 そうだぞー。

 ずっと休んでたから体調は絶好調だけどな!

 とりあえずブルペン行きますかね。



 六回表はクリーンナップからの好打順。

 3番のレオンは二打席目は単打だった。

 まあ、勝負して単打で抑えれただけラッキーだよね。

 最近は、大浦に触発されたのか打撃絶好調だし。


 「もう雰囲気がね。肉食獣なんだよ。目をギラギラさせちゃってさ。相手ピッチャーには同情するよ」


 実際、相手ピッチャーは呑まれそうになって、萎縮してしまってる。

 高一でこの風格よ。

 心底味方で良かったと思ってます。


 結局レオンはまたもや四球だった。

 続くバッターは大浦。

 前の打席は強烈なサードライナーだったし、相手も警戒してる筈。

 レオンから逃げても、大浦がいて隼人がいる。

 清水先輩も甘く入ったら簡単に持って行くパワーがあるし、本当に恐ろしい打線だ。


 大浦は四球後の初球を狙っていたのか、変化球を打ちライト前ヒット。

 当たりが強過ぎてレオンは三塁まで行けなかった。


 5番の隼人は4球目のストレートを打つもセンターフライ。

 なんかめっちゃ力んでたね。


 「チャンスで隼人が凡退とは。珍しい事もあるもんだな」


 そういえば、彼女が来てるんだっけ?

 ふはははは! 良い所見せようとしたな!

 リア充め! 別れない程度に嫌われてしまえ!


 6番の清水先輩が、尻拭いのタイムリーツーベースで龍宮高校は2点を追加。

 6ー3で六回表が終了した。


 裏の金子のピッチングは、この回で最後だからか、自己最速タイの135キロを連発し、カーブを交えて三者三振。

 強豪三松学舎相手に六回3失点と、悪くないピッチングだったんじゃなかろうか。


 「金子、お疲れーい!」


 「疲れたー。球数は100球をちょっと超えたぐらいなのに消耗が半端ないや」


 「油断出来る打線じゃないからなー。こればっかりは慣れるしかないね。まあ、後はこの俺様に任せてといてよ」


 「復帰初戦だけど、頑張って」


 あー、やっと試合で投げれるぞー!

 久々だからか、既にアドレナリンが出てる。

 ヘマしないようにしないとな。

 

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