第9話 龍宮高校野球部
「部員って何人いるんだっけ?」
「2年と3年合わせて20人ちょっとらしいよ。最高成績は西東京のベスト16だね」
「それってすごいのか?」
「まぁ、東京は西も東も激戦区だからねー。出来たばかりの高校にしては大健闘だと思うよ」
ウルとタイガが話してるのを聞きながら、やっぱり東京やべぇなんて思っていると部室に着いた。
「ちわーす! 新入部員4人とマネージャー志望1人でーす!」
俺が声を出しながら部員に入ると、既に人が結構いた。
俺ら以外にも、新入部員っぽいのがちらほらと。
「おぉ! お前らか! よく来てくれたか! これからよろしく頼むぞ!」
「はい! キャプテン! こちらこそよろしくお願いします!」
この人は、キャプテンのゴリラ。間違えた。
北條正人。哺乳類である。
ゴリラに見間違えるほど、ゴリゴリしている。
見た目に反さず、趣味は筋トレでうちのジムを紹介したら次の日に会員になっていた。
「初めましての人もいるし、とりあえず自己紹介しておくか。俺が野球部キャプテンの北條正人だ。新入生とは、後4ヶ月程しか付き合いがないかも知れんがよろしくな!」
先輩部員との交流は各々好き勝手やってくれって事になったので、俺たちは散らばりながら先輩の所に行く。
「新入部員で誰か知ってる奴いたか?」
「いたよ。あの、タッパがそれなりにでかい奴。全国行く前にやった事があるね。ピッチャーでカーブを何種類も投げてて、それなりに苦戦した」
ついて来たタイガと話ながら、新入生について聞くと、そういえばという奴がいた。
スローカーブにパワーカーブ、普通のカーブと、投げ分けてた奴だ。
確かに苦戦した。
俺は確か3打席とも凡退だったはず。
「あれは、魔改造したらなかなか伸びそうだよな。今から楽しみだ」
「ほどほどにねー」
タイガが呆れてるが気にしない。
死後の世界の影響か、それとも血筋なのか俺も育成厨なのである。
シニア時代も偶に暴走したりして迷惑かけたもんだ。
そして、今向かってる先輩は春休みに見て絶対に魔改造してやろうと思ってた人なのだ。
「三井先輩! ちゃーす!」
「ちゃーす!」
「あぁ。豹馬に大牙か。これからよろしくな!」
この人は三井葵先輩。2年生でエースである。
現状でMAX145キロのストレートとスプリットとスライダーを投げるポテンシャルの塊なのだ。
「こちらこそお願いします! もう今から明日からの練習が楽しみですよ! 父と母も来ますしね」
「そうだなぁ。それはみんなも楽しみにしてるよ。元プロ野球選手なんてなかなか会えるもんじゃないしね」
「三井先輩も楽しみにしてて下さいね!」
「豹馬の魔改造は噂に聞いてるけど、程々におねがいね?」
三井先輩が苦笑いしてタイガが呆れてるけど、なんの事かわからない。
ダイジョーブ博士ばりの魔改造を約束するとも。
三井先輩と世間話も楽しみつつ、その場を離れ他の先輩や同期と交流しつつ部室を出た。
「ふぃー。なんだかんだ疲れたな。高校生になった実感が出て来たぜ」
「俺は隼人が癇癪起こさないかヒヤヒヤしたけどな」
「そこまで人間終わってねぇよ。馬鹿にすんな!」
「いや、前例があるから言ってるんだけど」
「2年生のマネージャー可愛かったなー」
「あの人確か彼氏持ちだったはずだぜ」
「あー儚い恋でした」
馬鹿話しながら各々帰路に着く。
因みに寮はあるが俺たちはみんな通いである。
「じゃあみんなまた明日なー!」
いよいよ明日からは練習開始。
高校野球生活の始まりである。
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