第172話 新入部員
「思ったよりも少ないな?」
「多すぎても良い事ないでしょ」
入学式や始業式が終わり、今日から本格的に部活が始動する。
まだ体験期間中だが、すぐに春季大会も始まるし、いつまでもダラダラしていられない。
グラウンドに向かうと、新入部員が居た。
その中には春休み中に練習参加していたメンツも揃っていて、かなり気合いが入ってるように見える。
「20人ぐらいか?」
「丁度良いぐらいの人数じゃない? 来年はもっと増えそうだけど」
俺達が本格的に活躍し始めたのは秋季大会からだしなぁ。その時には進路が決まってる生徒も多数いた事だろう。
夏もベスト4と結果を残したと思うが、新設校って事で避けられたのかも。
「これ以上増えて管理出来るのか?」
「新しくコーチを雇うとかするかもね。パンのお父さんだって、契約はパンの卒業まででしょ?」
俺達が卒業してからも強豪校として生き残る為には今から体制を考えていかないとな。
母校が落ちぶれるのは見たくないし。
父さんや母さんにコーチへの指導もお願いしておくか。
それから部員全員と監督が集合。
監督が雑に挨拶を始めて、これからの事について話し始める。
「えーっと。とりあえずは身体測定やな。これは全学年やってもらう。こっちに紙を用意しといたから、空いてる所からどんどんやって行ってくれ」
監督が部員に紙を渡していく。
紙をチラッと見たけど、去年と内容は変わらないな。50メートル走やら遠投やら。反射神経を測定する項目なんてのもある。
「ほんでから、今年から勝弥以外にもコーチを雇う事になったから。新入部員が増えて、目が行き届かん事も増えるやろうしな。時期は未定やけど、四月中には新しいコーチが来ると思っといてくれ」
あ、やっぱり雇うんだ。
どんなコーチなんだろうか。楽しみですな。
監督の話が終わり、各々が身体測定に向かう。
新入生はどう動くべきか迷ってるけど、まだ緊張してるんだろうか。
龍宮高校は上下関係が緩い、アットホームな野球部だよ? 気軽に聞いてくれてもいいんだけど。
「はいはーい。新入生は身長体重からいこっか! みんなこっちについてきてー!」
なぬ!? 頼られるのを今か今かとソワソワしながら待っていたら、金子が率先して新入生に声をかけに行った。
あやつめ! 好感度UP大作戦をしようとしてやがるな!
「ほら、パン行くよ。そんな睨んでたんじゃ新入生が萎縮しちゃうでしょ」
「いや、頼られるの待ちだったんだけど」
「そんな近付くなオーラを出しておいて良く言うね」
え。そんな負のオーラ出てた? 確かに誰も視線を合わせてくれないなと思ったけど。
あ、蛟は例外ね。あいつは熱っぽい視線を向けてきてた。視界に入れないようにしていたが。
「ちぇっ。後輩に優しい先輩ムーブは失敗か。難しいもんだな」
「シニアの時も結構恐れられてたんだよ? あ、蛟以外ね」
ほえ? マジ? 結構仲良くしてたと思ったんだけど。俺の独りよがりだったの?
もしかして気を使われてたのか? 豹馬君ショックですよ。
「少し喋れば、馬鹿な事言ってる優しい人間だって分かるのにね」
「タイガー!!」
思わずひしっと抱き付いてしまった。
お前は良い奴だな。馬鹿な事言ってるは余計だけど。
「うひゃ! まさかのパンから! これは新展開だわ! ネタの提供感謝です!」
俺は記録係をしながら怪しい視線を向けてるマリンには気付かなかった。
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少しばかり宣伝を失礼します。
作者療養中でかなり暇なので、三ヶ月程前に少しだけ公開してすぐに非公開にした作品のリメイク版を書きました。
致命的な矛盾があって、公開をやめてからモチベーションが下がって放置してたんですが。
暇潰しにリメイクしました。
『俗物夫婦回帰転生』
過去に戻って未来の知識で好き放題やる夫婦のお話です。
皆さん、過去に戻って好き放題したいと思った事はありませんか? 作者は毎日の様に妄想しています。そんな作者の妄想を詰め込んだ作品になっております。
良ければご覧下さい。
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