第280話 ニュース


 『続いてのニュースです。本日、高校野球の甲子園予選の決勝戦が行われました』


 試合後に軽いミーティングをして解散。

 祝勝会は明日に寮で行われる。


 俺は勝った勝ったと気分良く銭湯に浸かって、常連さんに祝福のお言葉を貰い、リビングで夜のニュースを見ていた。


 甲子園予選の決勝戦ともなると、普通にテレビのニュースで取り上げられる。

 俺はワクワクしながらテレビを見ていた。


 『西東京大会では去年の夏の覇者日本三高と、春のセンバツ優勝校の龍宮高校が激突。試合は白熱の投手戦が繰り広げられました』


 うーん。霊山がカッコよくて見えてムカつきますなぁ。やっぱりアンダースローってのは話題性もあって、ニュースにしやすいんだろうか。俺のサイドスローも負けてないと思うんだけど。


 『龍宮高校の注目はやはりクリーンナップ。春のセンバツで四本のホームラン放った3番浅見君。同じく四本のホームランを放った4番の大浦君。そしてホームラン二本、得点圏打率はチーム一の岸田君』


 ほわぁ。いいないいなぁ。

 甲子園の映像と今大会の予選映像なんかも混ぜて大々的にカッコよく放送されてるじゃん。やっぱり野球の花形はホームランなんですかねぇ。三振も良いと思うんだけど。


 『しかし、日本三高の先発、伊集院君も負けてはいません。初回は浅見君から三振を奪います』


 おお。あのレオンの屈辱的三振が放送されるとは。いや、されるよな。可哀想に。

 レオンは今頃顔を真っ赤にしてぷるぷるしてるんじゃなかろうか。


 『伊集院君は打者一巡をランナーを出すこともなくパーフェクトピッチング。龍宮高校を寄せ付けません。しかし、龍宮高校エースの三井君も負けじと無失点。試合は投手戦で進み、ゲームが動いたのは七回でした』


 『七回表。日本三高の柳生君がヒットで出塁、続くバッターが送りバントでランナーを進めて迎えるは、今大会打率が4割を超えている砥川君。そして見事にレフト前ヒットで先制点かと思われたところで、レフトの大浦君が物凄い返球。本塁への帰還を阻止します』


 これがこの試合のターニングポイントだったんじゃないかなぁ。マジでここは大浦に助けられた。ここで先制点を取られてたら、その後の試合展開も変わってただろう。


 『続く4番バッターをショートフライに打ち取り、龍宮高校はピンチを脱します。そして七回裏。3番の浅見君からの打順。ここまで二打席は伊集院君に抑えられています』


 画面越しでも分かるレオンの威圧感。

 なんかオーラとかが見えそうなんだけど。

 高校生が発していい雰囲気じゃない。


 『そして4球目。遂に浅見君のバットが伊集院君を捉えます。打った打球はライトスタンド上段へ。値千金の一発で龍宮高校が1点を先制しました』


 マジで滅茶苦茶飛んでるな。あわや場外って感じだぞ。これぞアーチストってホームランだ。レオンをパワプ◯で作ったらどうなるんだろうねぇ。


 『先制点を入れた龍宮高校は八回からピッチャーを交代。春のセンバツで完全試合をして甲子園を沸かせた三波君がマウンドに上がります』


 きたーっ! とうとう俺の登場だぜ!

 主役は遅れてやってくるとはこの事よ!


 『三波君は圧巻のピッチング。最速155キロのストレートを武器に日本三高打線を寄せ付けません。八回九回をパーフェクトに抑えて龍宮高校が1-0で勝利。甲子園への切符を手にしたのは、春のセンバツ優勝校、龍宮高校でした』


 あ、あれ? それだけ?

 俺ちゃんがマウンドに上がって、最後の柳生を三振に奪ったところだけ?

 ちょっと尺が短すぎやしませんか?


 「ん?」


 スマホがぴこぴこ光ってたので、見てみるとレオンから煽りの連絡が入っていた。


 「ふぅ。やれやれ。甲子園に行く前にどっちが上かはっきりさせておいた方が良さそうだな」


 俺は大人だからね。こんな煽りには乗ってやりませんよ。でもなんか無性にレオンから三振を奪いたい気分。別にこの連絡とは関係なしにね? なんかぼろくそにやってやらないと気が済まない。ほんとにこの煽りは関係ないよ?


 「絶対にチェンジアップで跪かせてやる」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 はい。

 という事で今章は終了です。

 お疲れ様でした。


 豹馬君はあんまり活躍しませんでしたねぇ。まあ、それだけ龍宮の投手陣が優秀だったということで。

 甲子園では見せ場があるといいなぁ。


 でもキャプテンは最後のアピールの場だから、優先して使ってあげたいという葛藤が…。豹馬君は来年まで我慢してもらうかもしれませんね。


 次章は甲子園になります。

 とりあえず目下のライバルは桐生高校。

 他にもダークホースが出てくるかも?

 どうぞお楽しみに。


 ではではまた次章で〜。


 あ、作者は他にも作品を更新してますので、良かったらそちらもご覧下さーい。

 

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