第194話 居残り練習
後輩と交流し、一二三少年の悩みを聞いた翌日。
早速練習終わりにグラウンドに何人か集まって、一二三少年強化練習を開始する。
「って事でキャプテンと金子にも来てもらいました。拍手ー!」
「やめてよ、恥ずかしい」
「豹馬が後輩と仲良く話してるのは新鮮だね」
口には出せないがミズチのお陰です。
これ言っちゃうと調子に乗るからね。ウザ絡みされるのも嫌だし、心の中で感謝しておきます。
「俺だけじゃ変な慣れとかあっても困るしさ。龍宮には一流ピッチャーが揃ってる事だし。こんな豪華な練習台はないぜ」
俺の投げ方はちょっと変則だしな。
一二三少年に変な癖とかついても困る。
って事で右の本格派のキャプテン。
カーブマスターの金子君に御足労頂いた訳である。
「一二三少年だけじゃなくて、他のみんなも何かを吸収して帰って貰えれたらなと思います。今日から当分は続ける予定だし、焦らずに頑張っていきましょう。怪我だけには気を付けるようにね」
「おぉ。キャプテン。豹馬が先輩らしい事言ってますよ」
「感無量だね。俺も鼻が高いよ」
そこ二人。
後方腕組みおじさん面しないの。
キャプテンなんて俺が育てたみたいな顔してらっしゃいますけど。違うよね? 俺の事放置プレイだったよね?
「じゃあまずはキャプテンは一二三少年に付き合ってあげて下さい。まずは対戦する事が多いであろう、右の本格派に慣れてもらわないと」
「了解」
「金子は剛元に付き合って、変化球に対応出来るようにカーブを中心に投げてくれ」
「はいはーい」
「俺は他をまとめて相手しまーす。俺から打てたら今日は晩飯奢ってやるぜー」
うむうむ。即興で始めた割には中々形になってるんじゃなかろうか。
まさか俺にキャプテン適性でもあるのかしら?
☆★☆★☆★
一二三球児は龍宮高校野球部キャプテン三井に、ストレートだけを投げてもらい、野球勘を戻そうと必死だった。
ネット裏では豹馬の父、勝弥と監督がジッとその姿を見ていた。
「確かにセンスはありそうやなぁ」
「あんな打ち方をしてるくらいですからね。天才か馬鹿のどちらかでしょう。しかし…」
勝弥の目からはどこが悪いのかは分からなかった。微妙にタイミングがズレているのは分かる。
それが何故なのか、原因が分からないでいた。
「あの打ち方はどうアドバイスしたら良いか分からないんですよねぇ」
「お前のツテで神主打法のレジェンドからアドバイス聞いて来てくれや」
「それも考えないといけないですかね。あの才能を腐らせておくのはあまりにも勿体無い」
「お前は原石を見つけるとウキウキしとるな」
監督の言う通り、勝弥の目はキラキラと輝いていて高校球児顔負けの顔をしていた。
「原石…。なるほど。ちょっと試してみましょうか」
「ん?」
勝弥は部室に向かい、中に入って目的の人物を探す。
「あ、いたいた。大浦君」
「なんっすか?」
「ちょっとお願いがあって。もう帰るところ?」
「いや、豹馬っちが面白い事してるので混ぜてもらおうかと思ってるっす」
勝弥が探してたのは大浦。
才能を見抜く目は結構あると自負していた自分が見逃していた原石である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
短いですけどサポーター様向けの限定公開を更新しました。
良ければご覧下さい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます