第261話 VS東海大4


 「初回で大量得点のチャンスだぞー」


 ノーアウト二塁でクリーンナップ。

 出来ればここで試合を決めるぐらい点を取って欲しい。


 そう思ってたんだけど、レオンはファールフライ。大浦は内野ゴロで倒れた。

 まぁ、打率10割なんてバケモノは存在しないから仕方ない事なんだけど。


 ちょっとここは頑張って欲しかったですねぇ。


 大浦の内野ゴロの間に二塁ランナーのタイガは三塁に進んで、ツーアウト三塁。

 そして5番の隼人だ。


 「もう一点はせめて欲しいな」


 「ノーアウト二塁で点が入らないのは辛いよねー」


 うむ。先制点を奪取した流れに乗りたかったところだけど、踏ん張られてしまってる。

 ここで隼人が打たなかったら、相手を波に乗せてしまうかもしれん。


 頼むぞ隼人。お前の打点乞食が本領発揮される場面だ。

 そう思ってたんだけど、捉えた痛烈な当たりはショートの弾呉にファインプレーで阻まれた。


 抜けるかと思った打球をノーバウンドでダイビングキャッチ。敵ながら天晴れである。

 因みに弾呉長男は捕手、双子の次男三男は二遊間を守っている。


 「惜しかったな」


 「結果が全てだ」


 帰ってきた隼人に声を掛けるが、ぶすっとした表情でグローブを持って守備に行った。

 隼人も抜けたと思ったんだろうな。


 「結果的にうちのクリーンナップが抑えられちゃったな」


 「そうだね。こっちもキャプテンにバシッと抑えてもらおう」


 先制点はゲットした。けど、後の流れが相手に寄ってるような気がする。

 点を取ってもらった後の回は重要ですよ。頼んますぜ、キャプテン。



 そう思ってたんだけど、二回表の先頭バッター、4番の弾呉長男にフェン直のツーベースを浴びる。

 打たれた瞬間入ったと思ったけど、ギリギリ耐えたな。


 「もっと飛ぶと思ったけど失速したな?」


 「球威が勝ったとか?」


 どうだろ? まあ、命拾いした。

 5番の次男を抑えて…。


 「やべぇ」


 頑張って抑えてもらおうと言おうとした瞬間、センター後方に大飛球。

 4番にもそうだったけど、安易にストレートを投げさせすぎじゃない? やっぱり速球系には強いよ。


 「おおー!!」


 ウルが快足を飛ばして、大飛球にギリギリ追い付き、背走キャッチ。二塁ランナーはタッチアップで三塁に進んだものの、大ファインプレーだ。弾呉兄弟に負けず劣らずのスーパーなプレイ。


 「流石異次元の守備範囲の持ち主さん。打球判断が素晴らしい」


 「あれだけ目を切って走って落下地点に一直線って凄いよねぇ」


 昔から守備は上手かったんだ。それに打撃がようやく追いついてきたって感じ。

 ウルも高卒ドラフト目指せるんじゃないかなぁ。本人がどう考えてるか分からないけどさ。


 「ワンアウト三塁か。内野は一点は仕方ないって守備だな」


 「一点取られても同点だしねぇ」


 早速貯金を吐き出すかもしれんが、まだ序盤だしな。一つずつアウトを取ろうって事かね。


 ここは三振が欲しいところと思ってたんだけど、6番にライトの定位置まで運ばれて犠牲フライ。残念ながら試合は振り出しに戻ってしまった。


 「この辺はしっかりしてるなぁ。ただ馬鹿みたいにブンブン振り回してくるだけじゃない」


 7番はセカンドゴロで抑えて、二回表が終了。最小失点で切り抜けた。

 序盤から試合が動く展開。中々白熱してきたな。


 

 

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