第32話 ブルペン


 診断結果、俺はほぼ骨端線が閉じ切ってて、伸びても後1.2cmらしい。

 これでマシン使った筋トレも出来るし、強度の高い練習も出来る。

 冬の地獄が楽しみだぜぃ。


 他のメンバーは、ウル以外が所々閉じ始めてるみたい。

 まだ伸びるから練習はそのままらしいけどね。

 すまんね。1人だけ1抜けして。

 そんな事を言いながら煽ってたら。


 「冬はパンだけ地獄だね」


 「おーおーご愁傷様。応援はしてやるぜぇ」


 血も涙もない連中だぜ。

 一回り成長した俺に嫉妬するがいいさ。

 成長した後のレオンとの打席勝負が楽しみだなぁ。


 その後、口の悪い先生になるべく骨端線が閉じるのを遅らせる方法を聞いて病院を後にした。

 まぁ、栄養バランスに気を付けて良く寝ろって事ですね。

 いつもと変わらん。



 翌日、ブルペンにて。

 タイガを座らせて、全力投球してみる。

 勿論、機材を使ってフォームチェックしながら。


 「うーん、結構バラついてるなー。半々ぐらいでしか欲しい所に来てないよ」


 うむ。くそ。

 全力で投げるには足腰の筋肉が足りてないっぽいなー。

 なんか最後に腕を振る時にブレるといいますか、最後まで体を制御できん。

 映像でみても球速と変化球のキレは上がってる様に見えるけど、フォームが崩れてるから意味がないね。

 あ、150キロ超えて152キロまででました。


 「うーん。こればっかりは無理だなー。とても試合で使える段階じゃない。一から筋トレし直したい所だけども」


 そんなすぐ筋肉つくわけでもなく。

 大会中に無茶なトレーニングして怪我するのも馬鹿らしいわけで。

 これは現状維持かな。


 「膝はどう? 痛くなったり腫れたりしてない?」


 「問題なさそう。一応今日も病院行ってみるけど」


 「なら良かった。病院でも問題無かったらここぞって時にギア上げて投げるのも良さそうだよね。コントロール出来ればだけど」


 「えーフォーム崩れてるからバレると思うけど」


 「あ、それもそうか。どうする? まだ投げる?」


 「とりあえず膝が痛くならない限りは投げる」



 その後、100球ぐらい投げたけど膝は痛くならず。

 その前に体力が無くなりそうになったので終わりにした。

 ちょっと練習減らしただけで体力が減ってる。

 100球でへばってしまうとは。


 ブルペンでへばった後に入念にストレッチしてから病院に向かった。


 「今日、全力で投げてみたんですけどどうすか?」


 「あー若干腫れとるなぁ。痛みはないんやな?」


 「今の所はですけど、全くないです」


 「とりあえず今日もマッサージしてけ。そんで徐々に強度上げていく方が良さそうや。調子乗って投げすぎんなよ? わかったか?」


 「うす。わかりました」



 とりあえず9割完治って事らしい。

 でもこの夏は無理せず、7割ぐらいの気持ちで投げろとの事。

 ちょっと勝ち上がれるか心配だけども、こればっかりは仕方ない。

 心強いチームメイトに任せる事にします。

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