第185話 久々の再会
レオンにぼろんちょんにやられた翌日。
改めて勝負を挑むと普通に勝てた。
三振は一つだけだったけどな。
「昨日はなんだったんだ?」
「渚ちゃんを悪漢に掻っ攫われた怒りをぶつけたんじゃないかな? それで打ててある程度すっきりしたとか」
タイガに言われて少し納得。
俺の有頂天気分より、レオンの怒りの方が強かったんだろうか。どれだけシスコンなんだよ。
因みに渚ちゃんとはあれからも毎日連絡を取り合っている。
付き合いたてホヤホヤのラブラブカップルだ。
次の試合の結果が今から楽しみだぜぇ。
「油断できる相手じゃないけどね」
「それは分かってる。なんたって白馬君が居るからな」
春季大会の次の相手は松美林。
天才厨二病打者白馬君がいる高校だ。
どうでもいいけど、天才厨二病打者白馬君って語呂が良いな。
そして金曜日。
本日も公休を使っての試合だ。
「ちぇー。土日なら渚ちゃんが応援に来てくれたのになー」
「女にうつつを抜かして打たれるなんてのはやめてよ?」
それはない。
俺はチヤホヤされるとパフォーマンスが向上するんだ。彼女が出来て打たれるなんてありえないね。
渚ちゃんに幻滅されちゃうよ。
「やっほー! 豹馬君! 后君も!」
「どうもどうもー。お久しぶりですー」
「ご無沙汰してます」
タイガと喋ってると白馬君がやって来た。
相変わらずイケメンだぜ。
タイガと二人で並んでるとモデルの撮影みたいだな。
「調子はどうだい? 聞くまでもなさそうだけど」
「絶好調っすよ! 全打席三振して泣かないようにしてほしいっすね!」
因みに彼女が出来た事は白馬君に報告している。
高校や年齢は違うけど親友みたいになってるからな。
「あははは。俺達も去年からかなりレベルアップしてるよ? 対龍宮の秘密兵器も用意してるしね! 夏の前哨戦は俺達が勝たせてもらおうかな!」
ほう。秘密兵器とな? それは気になりますな。
それを夏じゃなくてここでぶつけてくると?
「受けて立ちますよ! なんたって龍宮は王者ですからね!!」
そんな事を話しつつ、白馬君は爽やかに去って行った。去り方までイケメンって。羨ましいな。
俺が同じ事をすると噛ませキャラにしかならなそうなのに。
「秘密兵器だってよ。なんだと思う?」
「うーん。この冬で成長した投手とかかなぁ? 松美林がそんなの用意してるなんて情報はないけど」
「龍宮の情報網はまだ脆弱だからな」
「学校で情報収集部門みたいなのを作って欲しいよね。俺達だけで集めるにも限度があるよ」
新設校だからなぁ。古くからある強豪校みたいなコネが少ない。
これからの課題だな。
「あ、輝夜さんだ。今日も来てるんだ」
観客席を見ると今日も輝夜さんがノートパソコン片手に座っていた。
向こうもこちらに気付いたようで、手を振ってきた。俺も振り返しておく。
「早速浮気? レオンに報告するよ?」
「やめろやめろ。あの人はいとこなんだ」
「怪しいね」
ニヤニヤするんじゃない。
明らかに楽しんでるじゃないか。
「春季大会が終わったら龍宮のコーチに就任するらしいぞ」
「へぇ。そうなんだ。そういえば新しくコーチを雇ったって言ってたもんね」
よし。上手い事話を逸らせたな。
全く。変な所に火種を作ろうとするんじゃありませんよ。
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